前作と本作の間の6年には、解散の危機を乗り越えるための、さまざまな苦闘があったと聞く。それは、ある意味、メタリカというバンドが現状に満足することを潔しとせず、常に「メタリカの常識」を覆そう…いや破壊することに挑もうとしていることの表れとも言えるだろう。スピーディーでヘヴィな曲が中心に収められた本作は、往年のファンを狂喜させるはずだ。しかし、そこに止まらないところが彼らの面目躍如。ロックに向かう衝動を取り戻しつつ、その一方で変幻自在とも言える複雑な曲展開にアプローチすることで楽曲を深化させ、確実に新しいメタリカを提示している。全11曲、75分。一瞬たりとも緩まないテンションの高さに圧倒されることは必至。「怒りの聖人」というタイトルに偽りなし。全収録曲のスタジオ・ライヴ映像を収録したDVD をカップリング!(山口智男)
本当の怒りを教えてくれるアルバム…
★★★★★
このアルバムは、メタリカにとってある意味、最も重要なアルバムと言っても過言では無いでしょう…
ジェイムズ…アルコール依存症
ジェイソン…脱退
ラーズ…ナップスター起訴
カーク…良い人(笑)
この時期に色々な事が重なりメタリカ存続まで危ぶまれた訳ですが、
そのネガティブ要素、怒り、憎しみ、を上手に受け止め
このアルバムに力を向けたのは本当に凄い事だと思います。
フランティックの歌詞を例えると…
今まで無駄にして来た日々を取り戻せたとしても俺は、まともな道を歩む事が出来るだろうか…?
これはジェイムズの意志が入っていて
彼のような体験をした人は、とてつもなく考えさせられるでしょう…
メタリカは
どんな怒りでも健全な怒りに変え動力にする事を教えてくれました。
このアルバムを聴いたら、メタリカのドキュメンタリー映画も後で買ってみると良いでしょう…
より深くメタリカを知れます
本当に有難う
メタリカ万歳!!
新しいメタリカ!
★★★★☆
メタリカは、このアルバムで本来のアグレッシブさを取り戻した。
ギターソロは、置き去りにしたが、バンドは同じ事をただ繰り返していれば良いというものじゃない。
やはり、出すたびに変化、進歩はあったほうが絶対に良い。
全編骨太で、ガッツある楽曲が溢れている。
王者の風格ある好盤だ。
メタルの新境地なのか・・・
★★★★★
メタリカの内部が崩壊していた頃に作られた作品。
今まで頼ったことのないコンピューターにドラムをたたいてもらったりなど、1st〜4th頃のメタリカからは考えられない試みが多くなされていた。
また、ギターソロも存在しない。アルバムタイトル通り「怒り」に身を任せて強引にリフを重ねているといった印象が大きいが、個人的にこのアルバムはいいと思う。世間では「メタリカ終わった」などと言われているが、「メタリカ復活」と言われた「デス・マグネティック」よりずっといい。「デス・マグネティック」はあまりにも「昔」を意識しすぎて逆に「昔」から遠ざかった。
伝えたい「怒り」が前面に押し出され、わかりやすい。そして本能に何か訴えかけてくるものがある。おそらく、時代を先駆けしすぎて、時代がまだ追いつけないアルバムなのではないかと思う。
個人的に1、2、8曲目が素晴らしい。スネアの音もむしろ良いと思う。
でも、初めて聴いた曲である「Metal Militia」のあの衝撃には勝てません。
窒息
★★☆☆☆
通して聴くのが辛い程のサウンドである。「S&M」では素晴らしいサウンドで名曲達に新たな魅力を与えていたので、このアルバムのキワモノぶりには驚き、落胆させられた。
スネアのカンカンという音が耳に障るだけではなく、ギターの音の分離も悪く、全編カオス状態。リフのキレがどんなに良かろうが、音が悪けりゃ魅力半減である。グシャグシャ、カンカンと風通しの悪いサウンドな上に曲が長いので、窒息しそうになる。
このサウンドでも満足できる、いやむしろ大好きと言う人もいるのだろう。たしかに、このサウンドは唯一無二だ。しかしそれは、他のバンドがこんな音作りはしないからである。モーターヘッドやヴェノムのように荒々しいサウンドを身上とするバンドもいるが、メタリカの長尺&緻密な楽曲に合うサウンドはこんなものではない。
ただ、DVDに収録されているトゥルージロを加えてのスタジオ・ライヴはまだマシ。こちらの方が角がとれてウェットな感触があり、聴きやすくなっている。あまりオススメの作品ではないが、購入するなら是非ともDVD付きを。
アグレッション満載
★★★★★
アルバムのタイトル通りの音を聴かせてくれる。
かつての緻密な展開の構築美は微塵も無く、あるのは雑多とした感じの荒々しい音だ。クリフ在籍時からの(自称)ファンで近年のメタリカに文句ばかりつける人間は初期の3枚だけ聴いてろ。メタリカ本人達も「俺達のやることが気に入らないなら聴くな!」と思っているだろう。
40前後のオッサン達がこんなに激しく音楽と向き合っていることは尊敬に値する。そう。これはハードコア・パンクにも通ずる「魂」の音だ。
日頃のストレスに押し潰されそうな方には是非ともBrutal TruthやTerrorizerなどのグラインドコアと、この「St.Anger」を聴いてアグレッションをぶち撒けてほしい。