本作は、数年ぶりの新曲(このシンプル・マインズのカヴァー曲は、土壇場になって次作に収録されることになった「Bitter Pill」から差し替えられた)を収録しているだけでなく、あの1980年代を思い出させてくれる。当時、ビリー・アイドルと、あまり語られることないふさふさ頭のギタリスト、スティーブ・スティーブンスは、メタルと洗練されたパンクを合体させたアメリカ人好みのメロディアスなサウンドという大衆受けするセンスを持っていたのだ。
たとえば、「White Wedding」は今やスティーヴィー・ワンダーの「Happy Birthday」と同じくらいセレモニーで流される曲だ。また、「Rebel Yell」はこれっぽっちも反抗的(Rebell)でも怒鳴っている(Yell)わけでもないが、ラグビー・クラブの社交パーティーで酔っ払った血気盛んな男たちが親交を深めるために作られたのは間違いない(1993年のクリスマスにロサンゼルスのラジオ局KROQで演奏したアコースティック・ヴァージョンも収録)。
本作は、現在リリースされているビリー・アイドルのアルバムの中でも、最も全体像をとらえたベスト盤である。そして、目前に迫った彼のカムバックが、より優れた次なるベスト盤の完成につながることを期待させる。(Kevin Maidment, Amazon.co.uk)