うれしい現代語訳
★★★★★
魏志倭人伝、正確には魏志東夷伝倭条の全文現代語訳は読みごたえがありました。
読み返すたびに湧き出る疑問、なぜ今まで決着がつかなかったのかが初めて理解ができました。
水行と陸行が併記されているのにはどんな理由があるのか、興味が次々につながっていきます。
新たな北東アジア像を提示
★★★★★
私は邪馬台国論争について詳しい訳でないが、本書で新鮮に感じたのは、魏と倭だけに焦点を絞らず、魏志東夷伝に登場する他の民族との比較を行いながら、北東アジア史の流れの中で、魏と倭の関係を読み解こうとしている点である。東夷伝に登場する諸民族のうち、最も多くのページが割かれてるのが倭人であることや、「楽浪海中、倭人あり。」を「楽浪郡とその海の向こうに倭人がいた」と解釈出来ることからは、著者ならではとも言える北東アジア像が見えてくる。
倭人は日本人ではなかった
★★★★☆
倭人がもともと朝鮮半島に本拠を持ち、北九州はその橋頭堡にすぎなかったことが、第一次資料である魏志の記述から説得力をもって説かれている。卑弥呼のちょっと前の時代、倭人は日本人でも朝鮮人でもなかったのだ。卑弥呼の時代までには、本拠が日本列島に移っているという。そして、そろそろ結論がほしい邪馬台国論争だが、九州以外には考えられないという結論を導いている。手軽に読める新書だが、日本人のルーツについてしっかりとした読み応えを感じさせてくれた。この値段は安すぎる。