人生に挫けた人へ
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人生につまづいて、ああ、もう立ち上がる
気力もねえや・・・、って気分の人に
推薦しまくりたい、素晴らしい本です。
えげつない、もの珍しがり本では、ありません。
そういった視点だけで読むには、あまりにも、
インタビューされる側・する側、の姿勢が真摯なのです。
こんな有名人でも、俺たちと変わんないレベルで
苦しんだり闘ったりしてんだなあ、って、
感動します。
試しに中山一也さんと、稲川淳二さんとジョニー大倉さん
のとこだけでも、読んで欲しい!!
稲川さんの最後の一言が、カッコ良すぎる!!
それを、わざわざ残した豪さんのセンスと
心意気にしびれる!!
世に氾濫する自己啓発本の三千倍、心打たれる
発言の数々です。
未収録のムツゴロウさんのセメント野郎ぶりは、
本人の「無人島記」や「動物王国」といった
文春文庫の諸作でもありありわかるので、
カール・ゴッチなみにやっかいなファイター、
畑正憲を知りたい方は、古本でぜひどうぞ!!
吉田豪の絶妙なスタンスがすごい
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はたして吉田豪は「濃い人」を愛しているのだろうか。確かに「本人以上に本人に詳しい」に偽りなし、すごい情報収集力で、史上最強のインタビュアーでしょう。
主観と客観のズレてる人々を茶化す気は毛頭ないのは確かです。しかしぞっこんほれ込んでる、というのは微妙に違うような気がします。
入れ込んではいるが、ほれ込んではないというか・・非常に微妙な立ち位置から、自分も含めて客観的に冷めて眺めている。水道橋博士ともまた違う。むしろ、吉田豪の業に怖さを感じる本でもありました。
ローリーはたまたま鬱だったのか、会話がかみあわないが、他はすべてばっちり。
特に内田裕也のインテリジェンスには驚いた。井筒監督を非難しつつ、「ガキ帝国」は評価してるし、過去にこだわる人かと思ったら常に現在の才能を見ている人なんだなあと感心しました。
その内田裕也を「自分の家のことちゃんとしないで何がラブ&ピースだ!」って殴った樹木希林夫人もすげーなー。
それにしても、すべての濃い人脈は勝新にたどりつくのだなあ、と改めて勝新の偉大さを思い知らされました。文春から出てた未文庫化の勝新対談集「泥水飲みの浮き沈み」は面白いですよ。中古本に少しプレミアついてますが、必読です。たけしを完全にコケにしてるし。
「60歳になってもロックンロールだなんてブツブツ言いながら死ねればいい。」
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今やタレントインタビューでは、右に出る者がいない座談の名手、吉田豪氏がアンダーグラウンドな活躍する異色の著名人・芸能人18人との対談をまとめたインタビュー本である。
岸部四郎氏(タレント)の自己破産になった経緯の話、 カルーセル麻紀氏(女優)の性転換手術やドラッグでの逮捕の内幕、 三浦和義のロス疑惑報道の裏側、 田代まさし(元タレント)のミニスカ盗撮事件の真相、 ジョニ―大倉氏(ミュージシャン)のキャロル時代やホテル転落事件の秘話など、当時、世間を騒がせた事件の裏側にも焦点を当て、興味深い内容となっている。
個人的には、ジョー山中氏(ミュージシャン)の名曲『『人間の証明』の挿話や『劇場版あしたのジョー2』の主題歌や声優(カーロス・リベラの声)体験、原作者・梶原一騎先生との交流の挿話に興味を惹かれました。
また、怪演俳優・中山一也氏(映画『IZO』に主演)の挿話で、三船敏郎氏主演ドラマのオーディションで放送禁止用語を叫んだ話や、映画『影武者』のオーディションに書類選考で落とされた後に二次面接に乱入して世界の巨匠・黒澤明監督の机をバーンッと引っ叩いて、「あんた糞ったれだよ!」と一喝した話、他にも『北の国から』の脚本家・倉本聰氏宅の前での割腹自殺騒動、銀座松竹の正面玄関に車で突入するなど、数々の桁外れな挿話に大爆笑しました。
そうした異色タレントぞろいのなかで最後のトリを飾ったのが、永遠のロッキンローラー・内田裕也氏(俳優/ミュージシャン)であった。著書『俺はロッキンローラー』(1976年、講談社)の数々の裕也語録が面白かった。
次回もできれば、萩原健一、小沢仁志、八名信夫、志賀勝、宇梶剛士(以上俳優)、三池崇史、室賀厚(以上映画監督)、野田義治(元イエローキャブ社長)といったラインナップで是非、第二弾もやってほしい。
買いです。
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誰が、なにをどう喋っている以前のせつなさが本書にはあります。自分らしく生きているだけで犯罪者や嫌われ者になってしまうような、ある種の業を担っている人がこの世にはいるのだなぁという無常観を強く感じてしまいました。吉田豪の本は、どれもそういった読みごたえがあります。お勧めです。
極上のインタビュー集
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何も知らない人が、このインタビュー集の人選を
見たらどう思うのだろうか?
一見、共通点はなさそうであるが、二種類に絞れると思う。
ひとつは、世間のイメージと本人が乖離しすぎている人たち
もうひとつは、イメージどおりだがその、人生における
”コク”の埋蔵量が濃い+凄すぎて、
「芋ほりに行ったらウラン出てきちゃったよ」
ぐらいの人たち。
そんな人たちの人生がつまらないわけがなく、
インタビュワーの吉田氏の
「相手を徹底的に調べ上げ、嫌がりそうな
質問も、上手にぶつけていく」
っていう、極上の手法とあいまって、
豪快に且つ繊細に、我々の元へ届いてくるのである。
幸せだなー。僕は。
”世間のイメージと本人が乖離しすぎている人”
の最右翼である、ムツさんインタビューの再録が
なかったのが少し残念であるが、
それを補って余りある、
極上のインタビュー集である。