「当たり前のこと」の本当の説明が知りたい貴方へ。
★★★★★
なぜ接着剤は物と物をくっつけるのでしょう。
考えてみれば、不思議なことです。
考えなければ当たり前のこと。
この本は、そういう「当たり前のこと」の中にある「実はよくわからないこと」
について知りたい奇特な方には実にすばらしい一冊です。
特に白眉は、第二章、「接着の謎を探る」でありましょう。
接着、という現象の科学的理由について、我々文系諸兄の考えもしなかった世界へ
誘ってくれます。
結局、我々の世界の物と物の反応は、
紙が燃え上がることからバットがボールを打ち返すことができる理由に至るまで、
分子と分子の電気的相互反応に尽きる、
わかっちゃいるけど、わかっちゃいるけど、
やはり実に不思議な世界です。
いったいこの世界は何なんだろう、という
理系の方には「馬鹿じゃないのか」と言われかねない哲学的疑問にまで
思いを誘いかねない一冊、それがこの本です。