Ilse von Alpenheim, 1927-
★★★★☆
イルゼ・フォン・アルペンハイムは、オーストリアのインスブルックに生まれた名ピアニストである。モーツァルテウム音楽院の卒業生らしく、モーツァルトやハイドンの作品を得意とするピアニストだ。もっとも、古典音楽ばかり演奏しているわけではなく、現代音楽にも関心を寄せている。
アンタル・ドラティと結婚し、夫君との共演で録音をかなり行っていたが、その録音はあまり顧みられていない。
そんなアルペンハイムの演奏の中でも、度々再発されているのが、このフェリックス・メンデルスゾーンの無言歌集であろう。
アルペンハイムの素直なピアニズムが、これらの曲の性質とマッチし、穏やかながらも味わいの深い演奏に仕上がっている。
数ある無言歌集の中でも、とりわけ母性的な温もりを感じさせる名盤。