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見知らぬ妻へ (光文社文庫)

価格: ¥520
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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チェロは形も音色も感触も、秋の町によく似合う。 ★★★★☆
短編【スターダスト・レビュー】の中の一節。
 隔世的なミュージシャンと赤坂の町、とりかえしのつかない人生。

「幸せって、目に見えるのね」・・・【うたかた】の一節。

【金の鎖】の中に、・・・若者の残り香が凩に洗われてしまうまで、・・舞い落ちる枯葉と戯れた・・・・

降りしきる雪の中で、ひとりになった男の戻れない軌跡を描く【見知らぬ妻へ】

 何度でも読み返したい本に出会った。
見知らぬ妻へとラブレター ★★★★☆
見知らぬ妻へとラブレターが似ていると指摘されていますが、中国からの不法滞在者がたまたま美人だったらヤクザの餌食になっていく現実がありがちな事として意味があります。この二作は連続して読んでほしいです。人口に比べ娼婦の少ない中国から来た彼女たちが始めから納得して入国したかは疑問です。男目線のにがいストーリーです。小説を深読みして泣きたくなりました。
せつなくなってしまう。 ★★★★★
8編のせつない物語である。
主人公はどれもが少しだけ人生にひねくれて、どうも自分をいじめてしまう嗜虐的なところが悲しみと言うか寂しさを誘ってしまう。
誰しも今の自分に満足しているわけではなく、少なからずひねくれてしまいたい時がある。
そんな時に読むと複雑な気持ちになってしまう。
読み進めるにつれ、主人公と自分が重なり合ってしまい不思議な感覚に陥ってしまう。
まったく作者の思うつぼにはまってしまった。
次は必ずハッピーエンドな物語を探して読んでみたい。
東京模様 ★★★★★
ある晴れた昼下がり、新宿の大ガードを抜け、小滝橋通りを歩く。「柏木公園」に到着した。空を見上げると、高層ビルの谷間の歯抜けの町並みは、失敗したテトリスの積み木のようになっている。初めの「踊り子」このあたりが舞台なのだろうと勝手に想像する。感傷に浸りながら、地下鉄で表参道に移動、骨董通りを歩く。「金の鎖」はこのあたりだろうか?そういえば意外なところに「姫椿」の銭湯らしきものも見つかった。新たな収穫だ。再び新宿に戻り、歌舞伎町のあずま通りを流す。このあたり「スターダスト・レヴュー」に出てきそうな界隈がある。どの店だろうか?なんて路地の奥をそれとなく覗く。その日の散策は終了。別の日、何気なく訪れた都庁の展望台から中央公園を眺めた。そのとき公園の端に停車しているマイクロバスに目が留まった。もしやあれは地獄行きの...いやいや、そんなことがあろうはずはない。あれは作り話だ、と自分に言い聞かせる。とそこに楽しそうな観光客の一団がバスを降りてきた。やっぱり作り話だよと安心した。自然と「見知らぬ妻へ」の面影を追っていたのだった。街を歩いていると、ストーリーがフラッシュバックしてくる。自分は東京に出てきて何年も自分の居場所が見つからなかった。ただ、この本を読んだあと、暇があると新宿界隈を散策するようになった。この本は、自分自身の居場所を教えてくれたような気がする。地方から出てきた人が、よく「東京の人は冷たい」と言うが、これは大きな間違いだ。そういう人には「あなたもすでに東京の人なのだよ」と教えてあげないといけない。それがその人への励ましになるのだ。
味わい深い8編 ★★★★☆
非常に味わい深い、8編の短編が収められています。一つ一つの物語がとても丁寧に描かれおり、いい意味で人によって好みが分かれるかなぁと言う印象です。ちなみに私は「スターダスト・レビュー」が一番好きでした。

一つでも気に入った物語があった方には、同じく短編集の「鉄道員」もお勧めです。


ただし、表題作の「見知らぬ妻へ」は「鉄道員」に収録の「ラブ・レター」と同じ元ネタと思われ、ストーリーがほとんど同じだったのでちょっと残念でした・・・。