紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす
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第25回(2015年度)Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞!
「新しい意味でのジャーナリズムであるとともに文化人類学の範疇に入る」
……藤原新也氏選考
新しい書き手。自由な批評。
「柔軟剤なしのタオルと同じ。読むとヒリヒリ痛くて、クセになる。」
……重松清さん
「世に溢れる陳腐な言葉と格闘することはこの世界と格闘することだ。」
……白井聡さん
「言葉の政治学についての好著である。読後感は正に痛快。」
……池澤夏樹さん(毎日新聞)
「麻痺してしまった脳ミソに「思考」という清冽かつ凄烈な刺激を与えてくれる。」
……藤沢周さん(東京新聞/中日新聞)
「途中で嘔吐しなかった根性も見事なら、最終的に排泄まで持って行った技巧も並大抵の新人のものではない。」
……小田嶋隆さん(文學界)
「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「国益を損なうことになる」
「会うといい人だよ」「ニッポンには夢の力が必要だ」「うちの会社としては」……
日本人が連発する決まりきったフレーズ=定型文を入り口に、
その奥で硬直する現代社会の症状を軽やかに解きほぐす。
初の著作、全編書き下ろし。
紙の書籍版では読めない電子版オリジナルコンテンツとして、
『日常に侵入する自己啓発』の著者・牧野智和氏との特別対談を収録。
言葉を係留点に、現代社会の症候を若き論者が語り合う。
目次
はじめに
「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
「“泣ける”と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
おわりに