医療とはなにか。『クスリ売りの少女』か。
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アンデルセンの生まれた町、デンマーク、フュン島の都市オーデンセに行ったことがある。
なぜ 行ったのか。
デンマークの精神医療の現実と福祉の実態を知るためであった。
この小さな町で かのアンデルセンという天才は生まれた。
小さな町、美しい町でアンデルセンのことを思った。
『マッチ売りの少女』のお話しが一番印象深い。
同時に、自分のおかれている立場も思った。
日本国の医師たち『クスリ売りの少女』だ。
現在の、医療界は 『クスリ売りの少女』を医師とよぶ。
本来 医師の役割は 病んでいる時の 養生法を伝えることが基本であるのに、今や『クスリ売りの少女』として位置づけられているようだ。
病んだと思っている人は クスリに関して無条件に信仰している。
インターネットで クスリの名を知り、医療機関はそれを売る施設であると位置づけている。
自分の病を じっとみつめ 養生法を知る場では無くなった。
医師は『クスリ売りの少女(おっさん或いはおばさん)』として位置づけられている。
かように扱われている現在の医師たちは不幸である。
さらに不幸なのは医師自身がその自覚なく、最初から『クスリ売りの少女』として自らを位置づけているからである。
病の時、どう養生するのかを伝えるのが 本来の医師の役割。
薬物はその養生のときにやむをえずつかう異物である。
かように思うぼくがおかしいのか。
ぼくは 多くの病んだ人がどう回復してきたかを 現場で教わり それを 伝承するのが医師の役割であると信じている。
断じて『クスリ売りの少女』であることを 拒否してきた。
現在の医療業界の根底が狂ってしまっている。
「自然治癒」なぞという言葉も死語になってしまった。
昔の人は偉かった。
自己が病んだ時、自己の病の進み具合をじっと冷静にみていたのだ。
その過程に、医師もつきあっていたのだ。
医療とは、何か。それを再度問うために、アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』をぜひお読みいただきたい。