輝跡 (文春文庫)
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プロ野球をこよなく愛する著者が贈る、ひとりのプロ野球投手をめぐる女性たちの物語。
北澤宏太は野球の才能に恵まれ、中学校時代は「怪物」と呼ばれていた。
しかし家庭の事情で野球名門校の誘いを断り地元の高校に進学、一度はプロ野球選手の夢をあきらめたが、四国独立リーグから育成ドラフトを経て、プロ野球選手になった。
短い時間ながらも輝きを放った北澤の野球人生と、彼を取り巻く女性たちの人生の交錯を描く連作短篇集。
・高校の同級生で、元恋人の穂波は、宏太がドラフトで東京の球団に指名されたときに、東京に呼ぶから待っていてほしいと言われる。(星霜)
・女性誌の看板編集長から左遷され廃刊寸前の野球雑誌に異動になった美潮は、キャンプの取材をして飲み屋で偶然北澤と知り合う。(手紙)
・チームの先輩選手・竜也の妻である雪菜は、かつて北澤と恋愛関係にあったが、竜也の引退後、居酒屋を営む。(菊姫)
・落ち目の歌手・マリアは沖縄のバーで出会った男と一夜をともにする。(ディーバ)
・女子アナの茉莉は北澤と結婚、ひとり娘をもうけるがやがて離婚へ。(洋紅葉)
合間に挿入される「ダーキニー」の章では北澤と同じチームの高橋信之を追い続けた慶の十年が描かれる。
解説・和田豊(前阪神タイガース監督)