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台湾セクシュアル・マイノリティ文学[2]中・短篇集――紀大偉作品集『膜』【ほか全四篇】 (台湾セクシュアル・マイノリティ文学 2)

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 作品社
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:黄英哲/編集委員 白水紀子/編集委員 垂水千恵/編集委員 出版社名:作品社 発行年月:2008年12月 関連キーワード:タイワン セクシユアル マイノリテイ ブンガク 2 キ タイイ サクヒンシユウ マク たいわん せくしゆある まいのりてい ぶんがく 2 き たいい さくひんしゆう まく、 サクヒンシヤ サクヒンシヤ 2883 さくひんしや さくひんしや 2883、 サクヒンシヤ サクヒンシヤ 2883 さくひんしや さくひんしや 2883 本書は台湾クィアSF小説の旗手、紀大偉の代表作4篇を訳出したものである。「膜」「赤い薔薇が咲くとき」「儀式」は、“記憶”を題材にした作品となっている。「膜」と「赤い薔薇が咲くとき」は、近未来社会における先端科学による記憶の移植・改竄・消去と身体改造を描いており、時間と空間が相互に複雑に交差する異空間の中で、クィアの転覆性を表現している。「儀式」は主人公の記憶と「事実」との間の矛
台湾クィアSF短篇集 ★★★★☆
 収録作品

・「膜」
 2100年。オゾン層の破壊により、海底へと移住した人類。
 トップレベルの腕を持つエステティシャンの黙黙は、クリーム状のスキャナーを客に塗り、その情報を覗き見ることを楽しみにしていた
 彼女の30歳の誕生日、20年間会っていなかった母が突然やってくることに。
 母は出版業界の大物なのだが、なぜ今になって?
 台湾SFというと『星雲組曲』*1がイマイチだった記憶があったんだけど、そんなことや同性愛テーマなどは気にならず、普通に面白いSF。というか、久々にSFらしいSFを読んだ気が(笑)
 膜という、謝絶をイメージさせるとともに、皮膚的な感触のある単語。それが、海と人、人と人、肉体と心、と登場するもの全ての間にある。主人公の黙黙は、常に自分が膜に包まれていると感じ、実際に他人や外出に興味がない。母との関係も完全に冷え切っていて、その理由、関係修復はSFならではの母娘物語。
 物語のキーにもなっている皮膚膜スキャナーがなかなか印象的で、それによる母のパソコンへのハッキングはかなりしびれる。そこに現れるものにゾッとし、そこから、イマイチ判然としなかった黙黙の一人語りと世界の真相が明らかになり、それまでとは違うベクトルのSFにシフトする様は素晴らしい。
 SF的にはガジェットも、ラストも今さら珍しくないんだけど、そこから目を逸す手際は鮮やか。オススメ。

・「赤い薔薇が咲くとき」
 強力な幻覚剤販売によって、世界支配の版図を広げるSM社。
 その秘密を探るべく、ある惑星に潜入した〈機関〉の諜報員。
 しかし、彼はその幻覚剤の虜になって……
 この作品も、ラストで見えていなかった真相へとシフトするんだけど、ちょっとイマイチ。

・「儀式」
 娘の卒業式に出た父親。
 そこで青春時代の親友が教師をしていることを知る。
 彼とは、ホモセクシュアルな関係を迫られてから、断絶していたのだが……
 この短篇集全体を通したテーマが「記憶」で、その意味では、メタでこれが一番面白かったかな。非SFだけど。

・「朝食」
 愛人と夜を過ごしたときは、家族に朝食を作りに戻ることをルールとしている男。
 しかし、愛人と激しく燃えてしまい、朝食に間に合わず……
 奇想・異色系として、これはかなり気に入った。
ハートフルなサイバー・パンク系SF ★★★★★
本書は2通りの読み方があるかと思う。
1つは、コンピューターと人間の融合というサイバー・パンク
の系列に連なるハードなSFの知的興奮を味わうという読み方である。
もう1つは、ベタな文学の情感に涙するという
知的なものは、とりあえずわきに置いておいて、ハートの回路を
全面的に開ききって、古典的かつ普遍的な感動に
打ち震えるという読み方である。

どちらもありだが、後者の方のインパクトがより強いのではないか。
あるいは、両方を、ウルトラC級の技で両立させた快作ともいえる。

途中、戦争に関する叙述が味気なくも思われるのだが、
じつは、それは、最後のあっと驚く展開への周到な布石となっているのだ。