惹かれあう少年と少女
★★★★★
アニメ版ではスーパーロボットアニメとしての盛り上がりが最高潮!
一方、小説版では活字という事もあってアニメの迫力を再現しきれてないのは否定出来ません。
しかし、活字媒体には心理描写という魅力があります。
1巻に比べて心理描写や裏設定の補完が、中々渋い。
チミルフとアディーネの肉体関係。
グアームに戦いを楽しんでいた頃はあったのか。
ヨーコがシモンに「カミナの事が好きだった」と言おうと思った理由。
そしてシモンとニアが心を通わせていく描写がいいです。
頼れる兄貴・カミナを失って、道を迷い続けるシモン。
そんな彼は螺旋王に捨てられた王女・ニアを拾う。
ここまではアニメ通りですが、シモンとニアが惹かれあった時期など、それなりに明確にしてます。
ニアの「シモン、手をどけて」は、シモンを心から気遣う描写であったという事は小説で初めて気付きました。
やはり今回も「設定補完」「心理描写」として割り切ると中々楽しめます。
アニメの説明不足を丁寧に補完してくれてます
★★★★★
この作者は本当にグレンラガンが好きなんだなーっ! と思う。
キャラクター全員への「愛」と、音も動きもないコミックでアニメのバトルの迫力を再現しようという
無謀とも思える「気合い」をひしひし感じる。
ここぞという名場面では、構図もキャラの表情も
できるだけアニメを踏襲しようとがんばっているところもイイ!
アニメ構成・脚本の中島かずき氏がコミック監修もしているのだが、そもそも同氏が
DVDオーディオコメンタリーで「アニメで削ったエピソードをコミック版で拾っている」と
発言していたので、コミックを買ってみた。
ほんのささやかなエピソードだが、確かに、これがあるとないとでは3部の印象がまるで違う!
3部を見ている時、「どうしてとっとと逃げて反撃しないんだ!」とか
「後から付け足したように『実は泣いていたんです』とか言われてもなあ」と、
両者に対してイライラしていたのだが、
コミックを読んでみたらこの2人に対する評価ががらりと変わってしまった。
そうか、地上に出て初めて、気持ちはわかるよって言ってくれて、
効率だけ求めなくてもいいよって教えてくれたのが、この人だったのか。
シモンにとってのカミナのように、この人にとってのアニキはこの人だったのか。
と、勝手に脳内でカシャカシャとつじつま合わせをしてしまい、
3部も納得して受け入れられる気持ちになってしまったのだ。
おすすめです。
1巻に引き続き
★★★★☆
2巻も1巻に引き続き、クオリティーの高さが維持されています。
アニメに忠実な進行で、飽きさせない画面の魅せ方。
原作を観た方もそうでない方も十分に楽しめる作品に仕上がっています。
気になる(?)読者サービス的なシーンもありありです。もりもりです。
ぜひ、最後まで描き上げて欲しい作品のひとつです。
これ単品だと微妙なところかなという感じ。
★★★☆☆
書いているのが脚本の方なので、文章が小説としては読みづらい。ガオガイガーファイナルのノベライズでも思ったけど。
グレンラガンは話数が少ないせいで削られた描写も多いようだから、その補完としては楽しめるかな。ロシウやヴィラルについては多少考えていたことが分かるという感じ。
ただそれもアニメの方から予想できる範囲という気もする。
正直、アニメを見ないでこの小説だけ読んでもイマイチかなあという感想。マンガ版は割合単品で成立してると思うんだけど。
1巻と変わらず
★★☆☆☆
やはりと言うべきだろうか、1巻の欠点をそのまま引き継いでしまっている。
既にアニメは全27話が放送終了しているため、大半の読者は既に物語の帰結を知っているわけである。
そういった読者にとってのノベライズ版の意義は、言うまでもなく本編の補完及び別の角度から
物語を再度楽しむことにある。
補完としてであれば、この小説が果たす役割は大きいと言えるかもしれない。
敵ガンメンの名前や各登場人物の内面といった、アニメ版ではカットされた部分を描写してくれている
(尤も、あくまで補完の域に止まっているが)。
しかしこの本は、再度楽しむという、最も重要な要素が致命的に欠けていると言わざるを得ない。
「再度」と書いたが、実際のところ、それは重要ではない。小説版『天元突破グレンラガン』という
一つの作品として楽しめるかどうか。それが重要なのである。
淡々と事実ばかりを述べる文章はリズムが悪く、戦闘での迫力やスピード感、
そしてクライマックスにおける強烈な熱さや昂揚感が、全くと言っていいほど表現出来ていない。
これらの欠点は、やはり砂山氏の筆力不足にあるのだろう。
たとえばグレンラガンを代表する必殺技とも言うべきギガドリルブレイクを放つシーン。
このシーンの台詞は、「ギガドリルブレイク!!」だけである。
脚本であればこれでいいのかもしれない。ここに柿原氏の演技が加味されるからだ。
だが、小説は違う。台詞の中に、溜めや声の起伏も含めなくてはならないはずなのだ。
結局、1巻同様、脚本に肉付けしただけに終始し、小説としての完成度は低いと言わざるを得ない。
作品を理解している人間が書くことによる利点が全くと言っていいほど発揮されていないのである。
これならば、設定などをしっかりと把握させた上で外部の小説家に書いてもらった方が良かったのではないか。
ただ、次巻は脚本家である中島氏自らが筆を執るということなので、期待してもいいかもしれない。