太陽王とフランスの栄華
★★★★★
素晴しい映画でした。
近年の古楽ブームに火をつけたと云われるのも判ります。
ブノワマジメルの演じるルイ太陽王の美しさと威厳、音楽を通じて自分の生涯と愛を捧げるリュリの一生、
特にリュリ役のボリス・テラルの演技に魅了されました。
男色家であったリュリですが、美しく描かれすぎているし
イタリア人とは言えこんなにワイルドだったのか?とも思いますが。
これでフランスでは二十数年前までは全く知られていなかったルイ太陽王が芸術、バレーを通じて
天下に国王として君臨しようとしていたこと、その実際についてが初めて明らかになったと読みました。
革命によってすべての王朝文化が絶やされてしまったフランスにもこんな時代があったのですね。
おもしろく感じたのは、王のダンスにより国王の威厳、フランス国の隆盛を示す行為が
ちょうど同時代の少し前の日本で織田信長により舞われていた能の舞を思い出させたことです。
国家を統べる者は教養によっても天下人としての威厳を示す必要があったのでしょうか?
また、リュリが幼王のダンス披露の前に自分ではきならしておいたイタリア製の(?)靴を差し出し
王の演出を助けるシーンについても、何故か豊臣秀吉が木下藤吉郎時代に
わらじを温め信長の機嫌をとったエピソードを思い出しました。
また、絶えず、宗教界との争いがあったことも信長時代と共通しており、
ルイ王は聖職者よりもリュリのような芸術を重用していたことも興味深いです。
共に国の基礎を固めた最大の人物であるルイ王と信長が不思議と共通点を持っていることに驚きました。
歴史ものとしても、音楽映画としても、人間の生き方や愛を描く映画としても
普遍的な価値のある映画だと思います。
美しい作品
★★★★★
音楽から映像、台詞回しにおいて全てが美しい。
余計な台詞や動きはなく、とても完璧に近いのではないかと思いました。
王の存在があまりに特異で芸術品そのもののようでした。そしてその王を愛する男の立場の危うさが作品の微妙なバランスをとり、刹那的な時代背景を感じました。
そして何より美しさに伴う重みのあるストーリー。
切ない、悲しいというよりも苦しい重圧感がありました。しかしそれは作品のマイナス点ではなくむしろ観る者を引き込む力となっていました。
とにかく素晴らしい作品ですので、購入して損はしないと思います。
ルイ王朝時代の宮廷音楽の勉強にもなる。
★★★★★
「舞踏」という視点から太陽王ルイ14世を
描いた意欲作。
すごく有名な王様であるのに、
彼を主人公にした本格的な時代ドラマは
希少なのではないでしょうか。
若きルイを演じるブノワ・マジメルが
いい味だしてます。若い時期・美しい顔に歪む表情は、
決して前途洋々ではなかったルイ14世統治初期
の苦悩が現れているよう。
17世紀の舞踏用音楽が聞けるのも嬉しい。
(いままであまり聞いたことなかったので)
音階といい、和音といい、曲の展開といいほんと独特ですね〜。
音楽の勉強にもなる作品です。
冒頭のシーンの美しさは必見!
★★★★★
大学の仏文学での講義で、モリエールのファルス(笑劇)についてレポート作成のための資料として観ました。といっても、リュリが主人公なので脇役ですが、とても参考になりました。全く仏文学に予備知識がない時に一回観たときも、もちろんその豪華さに圧倒され楽しめましたが、登場人物の予備知識があると、細かい点に気付くことができます。『タルチェフ』上演シーンでルイ14世の母アンヌ・ドードリーシュが激怒したりするところやトルコ人を馬鹿にするシーンは授業で習ったとうりの流れだったので、とっつきやすかったです。ブノワ演ずる太陽王のダンスとその殺気だった美しさは何度も観てしまいます。モリエールの最期が悲しいのが心に残ります。
王様美しい
★★★★☆
私が買ったのはフランスバージョンなので日本語字幕が出ません。フランス語字幕で頑張ってますが数回鑑賞後の理解度は6割位か・・。フランス語一生懸命読んで、聞こうとするんですが 王様が美しいのでついついそちらに目を奪われてしまい、字幕を見損ねてしまいます。男同士の愛も美しいですね。