呉服産業の衰退を乗り越える方策
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バブル前後には2兆円市場であった呉服産業は、現在その1/6まで縮小している。
その呉服産業の中で、売り上げを伸ばしているのはリサイクル着物ショップとネット通販ショップだ。
この本の著者は「たんす屋」という着物の古着を販売する会社を立ち上げた人物である。
このたんす屋は私もよく覗くが、とにかく安い。古着だからサイズに難点があるわけだが、仕立直しもベトナムの職人を使うから安い(とはいえ2万円弱くらいするが・・・それでも日本人にやってもらったら同じ仕事が3・4万になるのだからはるかに安い。いずれ日本の仕立業は消滅するであろう)
この本を読むと、日本の呉服産業は自滅したのだということがわかる。
高度成長期〜バブル期にかけての市場拡大を、バブル以後も維持できると考えたのがバカだったのだ。100万円の売り上げを上げるのに、100人に1万円単価のものを売るか、美味しい顧客を囲いこんで一人100万で稼ぐか、の分かれ目で、ほぼ全部の小売が後者を選択したときに、現在の呉服産業の凋落は決定したといえる。
たんす屋は、この潮目で、一人1万円で100人の顧客を獲得するほうに舵を切った。それが成功の理由であり、今後の呉服産業は、リサイクルか格安か超高級かの3択しか生き残らないのではないか。
現在の着物産業に興味をもつ消費者の一人として非常に面白く読みました。