地域づくり・ジオパーク関係者必携
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日本で初めてのジオパークの本のようです。ジオパークの設立はもちろんですが、地域活動や地域活性化に大変役立ちそうでしたのでご紹介します。地域の自然や文化、人材など身近な資源を使った地域づくりを考えている人々にピッタリの本です。地学教育に関心を持っている専門家にも役立ちそうです。ジオパークって何?という人も、お手軽な参考書として読んでみてはいかがでしょうか。
第1編は、“オンサイトツーリズム”という著者の思いが熱く語られていますが、かえって気が重くなる読者もいると思います。そういう読者はアッサリ読み飛ばしてもかまわないでしょう。でも、第1編はエコツーリズム、グリーンツーリズム、ジオツーリズムなどツーリズムとは何かを深く考えてみるとき大変役立ちそうです。ですから読み飛ばすのは惜しい気もします。このタイプの本には珍しく、最後に詳しいまとめがあるので、それで当たりをつけるのも良いかもしれません。
第2編は、ジオパークの考え方から造り方、日本の動向まで非常にわかりやすく説明し、次のように主張しています。「日本には様々なタイプのジオパークの可能性がある。地形・地質的な景勝地や有名な地質スポットはもちろんのこと、どこにでもあるような地形や露頭でも、しっかりした説明と仕掛けがあればジオパークは成り立つ。地球の部分部分、すなわち場所によって本質的な価値の差はなく、如何に、それを地質専門家が読み取り、語りかけ、地域の人々が磨き上げるかに掛っている。」
本書は、副題にもありますがジオパークを整備する立場で書いてあるので、ジオパークに行ってみたいと考えている一般の人々にとっては、取り付きにくいのではと思います。地質専門家や行政、NPOなど起業者向けと考えた方がよいでしょう。
今後、市民や子供たち向けの親しみやすいカラフルなジオパークのガイドブックが出版されるのが待たれます。