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日本の流通100年

価格: ¥3,675
カテゴリ: 単行本
ブランド: 有斐閣
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持っていて損はない一冊 ★★★★★
加工食品、化粧品・医薬品、家電流通、衣料品、百貨店、チェーンストア、中小小売業といったテーマ別にそれぞれ20ページ程度で時系列にそって記述しています。
それぞれの章の最後に注記と参考文献リストがずらりと載っています。
終章では「本書で意図したこと」「流通史研究の今後の課題」について触れており、ただ章別に違う分野について扱うだけでなく、全体をよくまとめています。
最後に流通年表や事項索引、人名・企業名・組織名索引もまとめてあり、持っていて損はない一冊といえるでしょう。
需要の創造と乱売対応 ★★★★★
大著である。
あらゆる日本の財の流通の近代史をまとめ、単なる経緯の記述に終わらない。一見無関係な様々な流通が、実は同じく流通業者の誕生、変遷、編成によって「需要創造」を成し遂げたこと、そして製造業者の生産力の拡大が、これまた同じく様々な分野で「乱売(小売価格の低下)」を招き、製造業者の対応、対策が図られたことが巨視的に整理される歴史書である。
翻って、今後の日本の100年を思う時、こうした資源制約と需要制約の関係がおそらく逆転し、さらに対応がスピード化(ファーストサイクル化)するであろうことにも読者の思いが至る。人口の増えない国内市場では、まず需要制約がもっと前面に独立変数として効いてくるだろう、という予想である。
考えてみれば「乱売」とは製造業者の見方を如実に現した言葉である。いつの日にか「乱造」という言葉がむしろ主役になるかもしれない、といった大きな視座を読者が感じることも可能な稀有な労作であると(門外漢ながら)感じた。
日々の変化をきちんと大きな流れの中で相対化する。こうした仕事に触れることの出来る昨今のマーケティングへの関心を持つ読者は幸せである。