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ベートーヴェン:チェロ作品全集

価格: ¥2,957
カテゴリ: CD
ブランド: ポリドール
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五つ星では足りない座右の一枚 ★★★★★
ベートーヴェンのチェロとピアノのための作品集には多くの名盤があります。たとえばロストロポーヴィッチとリヒテル、最近ではペレーニとシフもよい演奏でした。それらのなかでも、トップにあげられるのが、フルニエによる演奏です。誰もが言うことですが、フルニエのチェロにはほんとうに品格が感じられます。バッハの無伴奏チェロ組曲もそうですが、作品に対して誠実に向き合い、よけいな自己主張をせずに、作品が語ろうとしていることを十分に語らせる、そういう演奏です。このケンプとの共演盤では、ケンプの堅実な演奏が、そうしたフルニエのチェロをどっしりと受けとめています。ソナタをじっくり聴きこむもよし、変奏曲の愉しさに思わずハミングするもよし。何度聴いても飽きない、座右の一枚(ていうか二枚組)です。

ところで、フルニエにはほかに、グルダとの共演盤もあって、これがまた大名演。こちらのほうは、若いグルダのピアノが、若鮎がぴちぴちはねているような、書かれた楽譜を演奏しているのではなく、今まさに音楽が生まれ出ているような、フレッシュな演奏です。ぜひ、ケンプ盤とともに聴いていただきたいのですが、輸入盤でしか手に入りません。国内盤発売を熱望いたします。
ケンプとフルニエのベートーヴェン ★★★★★
ベートーヴェンの、ひいては二重奏の醍醐味を味わえるCD。 ベートーヴェンのチェロソナタは曲数は多くないとはいえ初期の曲と後期の曲の間の隔たりは大きく、両方を満足させるのは並大抵のことではない。ここでケンプとフルニエは楽器の性格の違いを超えた音楽家としての親近性を最大限に生かし、それを実現している。その親近性は作品69までの3曲のソナタよりも作品102の2曲で感じ取りやすい。両者の根幹をなす無駄のない清潔なフレージング。実は何を演奏しても言えることなのだが、切りつめた簡潔な言葉で全てを語っている。流れるようでいて滋味あふれる作品102の1のアンダンテ。そして作品102の2の終楽章フーガのすばらしさ。(特にケンプのピアノ!チェロと互いに呼応しつつゆっくりと緊張を増しながら高みに向かった後、一旦力を解放しつつ降りてくる。その後チェロに導かれ、力を得ながら再び歩みを始める・・といった過程にどれほど生命を吹き込んでいるか。ミスタッチなどは全く問題ではない。) 最近ほぼ同じ年代に録音されたナヴァラとサンカンの演奏(ACCORDレーベル)がCDで出て、久々に未知のすばらしいベートーヴェン演奏に触れることができたが、録音の状態も考慮するとまず聴くべきCDはやはりこのセットだ。
フルニエ先生 ★★★★★
村上春樹の「カフカ」にでてくるフルニエ先生のチェロです。ケンプさんのピアノがカラフルで、ときに挑発的になるのに対して、それをいなすように柔らかく入ってくるチェロの音がすごく良い。この人のチェロは入り方が独特で、2番の第2楽章のピアノとの掛け合いのところなんかゾクっとするほど良いです。村上春樹ではないけれど、ワインでも飲んでシャツにアイロンをかけながら聴くとよいです。
心地よいベートーヴェン ★★★★★
フランスを代表するチェリスト=フルニエとドイツを代表するピアニスト=ケンプのパリでのライブ録音(というのも信じられないくらい鮮明な録音)。ノーブルなフルニエと粘り強い音とリズムが身上で即興的な「遊び」も厭わないケンプのピアニズムが意外に合う。有名な第3番は流麗で「食い足りない」と思う向きもあろうが、痛快な1・2番(ちょっととぼけたような表現力が憎い)、対位法的処理が歌謡性と融合した4・5番など、何度聞いても飽きない。素敵な夜のひと時に。