まるで小鳥のさえずりのような
★★★★★
モーツァルトのフルート四重奏曲集は、おなじ作曲家のフルート協奏曲集やハープとフルートのための協奏曲とならんでフルート奏者の代表的なレパートリーとなっている名曲です。フルート好きの私がいろいろな録音盤を聴き較べた範囲では、聴くに堪えない演奏はひとつもなかったので、自分の好みのフルート奏者が吹き込んだものを聴けば楽しめると思います。
これは、ベルリン・フィルの首席フルート奏者だったアンドレアス・ブラウとアマデウス弦楽四重奏団員とのコラボレーションによる1970年代のグラモフォンの録音。メインのフルートが温和で目立ちすぎず、それでいて春の小鳥のさえずりのように愛らしい至福の名演です。曲全体のアンサンブルを重視した演奏をお探しのかたには、特におすすめ。
全4曲中、第1番二長調K.285がよく知られているようですが、私は他の曲も愛聴しています。たとえば第3番ハ長調K.Anh171の第2楽章は、かつてNHKラジオのドイツ語講座応用編のテーマ曲として使用されていたことがありますね。
カップリングは、モーツァルトのオーボエ四重奏曲。これも渋みのあるアンサンブルの魅惑が聴かせますよ。オーボエを吹いているのは、ベルリン・フィルの名手ローター・コッホです。