目的地に着くまで
★★★☆☆
1991年にJTBから出た単行本の文庫化。
日本各地の小観光地をめぐった記録。熊野古道、親不知、五島列島などが取り上げられている。
汽車旅の専門家であるはずの著者だが、本書では必ずしも汽車にはこだわらず、飛行機やバスなども使っている。鉄道では行けないような場所を訪れる必要があったためらしいが、持ち味が消されてしまっているように感じた。
前半はそれでも宮脇氏らしさが出ている。目的地に着いたところで文章が終わってしまうのである。移動そのものが旅の目的であるということで、納得がいくような、納得できないような読後感を覚えた。