ケラリーノ・サンドロヴィッチの大胆なアレンジ、バラエティに富んだ出演陣による群像劇、やたら明るい「どん底」が誕生。
★★★★☆
「どん底」などは、私ごときがレビューというか感想など書けないと思わせるほど、高尚なイメージがありますが。
公開当時、パンフレットやチラシでも、しりあがり寿のイラストが使われており、そのようなイメージを払拭したいという意志がうかがえました。
1901年頃のロシアの悲惨な貧困と失望、それでも逞しく生きる様を見事に描いていると思います。
現在の目で観て、理解しにくい分かりにくかったりする部分が省かれ、音楽と配役の妙・会話の内容など大幅なアレンジが施され、非常に観やすく受け入れやすくなっていました。
それでも肝心な部分は残したままであり、かえってそのことにより、テーマが明確に伝わるようになったのではないかとも思います。
その上で、ただ単に悲惨さを提示するだけではなく、希望すら感じさせる明るさがあるようにも感じました。
皆で合唱する「カチューシャ」の歌が重く心に響きます。