私にも、痴呆の状態で10年以上寝付いていた身内がいたので、身の回りの世話が大変なことは嫌というほど解っている。
それでも、こんな風に夫婦で歩んでいける、八重子さんは勿論の事、著者も幸せだと思う。
途中、同じような内容が重なっている部分もあるが、読後にはあまり気にならない。それどころか、読み終えた夜は、いろいろな感慨が胸に満ちて何だか眠れなくなった。
誰だって、どんな病に罹!るか先のことはわからない。
自分もこんな風に歩んでいけるだろうか。歩んでいきたいものだ。夫に対しての自分の日頃の行いを反省させられたりもした。
この本の中で一番素晴らしいのは、著者がお孫さんとの会話の中でお孫さんの疑問に応えて言った言葉。
「ババはだんだん赤ちゃんになる病気なんだよ、ババを元気にする薬はひとつしかないの、それは心の中にあるもので、毎日○○ちゃんもあげている薬、毎日お家の人みんながあげている、優しさという薬なんだよ。だから○○ちゃんもババに優しさという薬をあげてね」
小さな子供の心にググッと響くような、とても納得させられる言葉だと思う。
連れ合いがどんな病気になっても、自身が病気でも、こういう心で生きていけたら、それを幸せと呼べるのだと!思う。