理想を追求した魔将軍の生涯を描く
★★★★☆
室町幕府の政治に重きをなした黒衣の宰相、三宝院満済の目を通して、くじ引きで室町幕府6代将軍となった足利義教を、その幼少期から嘉吉の乱で赤松満祐に弑逆されるまでを描いたものです(厳密には満済の死1435年から嘉吉の乱1441年は、違いますが)。国家安寧を第一に考えた義教は、そのためには将軍の専制と権力の絶対化を必要だと考え、それに忠実に行動します。幕府に反発する鎌倉足利家を滅ぼした後、徐々に有力大名の力を削ごうとしていき、結局、赤松満祐は自衛のために先制攻撃的に義教を殺害します。その過程が、虚実入り混じり、たくみに描かれています。
なかなか面白い
★★★★☆
義教はあまりメジャーではないけれど、とても優れた
統治能力を持った将軍だったんだなぁ・・・と感心しきり。
しかしながら、もうひとつ激しさが伝わらないのは残念。
どちらかというと、激しい義教の周りで、懸命に支えた人たちの
苦労話のようにも感じたり・・・
でも、義教の偉業を知ることができ、満足しています。
影の薄い魔将軍
★★☆☆☆
足利義教は織田信長を先取りする日本史の重要人物の割りに知名度が低いためか、彼を主役にした小説はあまりなく、この作品には期待していました。
しかし、期待はずれのできでした。
その理由は義教の影の薄さ。特に作中の将軍就任後では、現場で政策のために奔走する人物の描写が多くなり、義教自身の描写が薄くなります。部下からの視点で義教の「魔将軍」と呼ばれるほどの凄みのようなものも伝わってきません。一方で義教の事跡を新書のように事細かに記しているわけでもなく、義教について学ぶ材料としても今一つ。
義教の少年時代の部分では後年「魔将軍」と呼ばれる片鱗を見せており、期待感が高まったのですが…。
いや、興味深々な歴史好きにはたまらない内容
★★★★☆
足利義教といっても大抵の人は知らないのではないでしょうか、足利・室町幕府といえば、足利尊氏にはじまり足利義昭に終わる・・・ですよね。
まぁ、ちょっと昔に日野富子が大河ドラマになったけど。
足利義教というと家臣に殺された惰弱な将軍だと思っていたんだすが、この本を読んでビックリ、信長も顔負けなくらいの改革者であり、魔王であったというおはなし。
私の歴史の師が昔、教えてくれたのを思い出しました。滅びた国は決して戦争が弱かったわけではない、強いからこそ負けるんだよと。
正に力の頂点にあったからこそ負けた、足利義教、その後継者である信長と思わずにはいられません。
作品からは作者の生真面目さが伝わってきますが、登場人物へを増やすこと、色恋を増やすことでもっとストーリーに重みが出てくるとは思いますが、佳作といえる作品です。
興味をもたれたら是非、ご一読!