本書は、こうした統計学の基本的要素となる記述統計(集団の一部=標本を分析する手法)と推測統計(記述統計で得られた結果を用いていかに集団全体を推測するかの問題)、そして、それらの基礎となる、確率・確率分布・統計量・サンプリングの概念を、一変数問題を中心に、あまり数式を使わず説明してくれる。こうした統計学の基礎的なエッセンスに触れた後、問題を二変数以上に拡張し、相関や回帰などの概念を説明するに至る。
また、体系的ではないが、統計学上重要と思われる考え方、Χ二乗検定、分散分析とF検定、母数によらない検定、重回帰分析などが取り上げられており、一部応用にまで拡張できる内容になっている。
しかし、全体としての内容は入門編であり、初学者に向けられた本であることに変わりはない。
この本は、文章による説明が長く、数式の使用が統計学の本にしては少ないので数式が苦手、といった文系の方には良いでしょう。反面理系の方にはもっと数式で簡潔に説明してくれたほうがわかりやすい、長文を読むのが疲れる、という感想をもたれるかもしれない。また、随所に定理が出てくるがその証明はほとんど無い。
結論として文系の方が統計学の初歩を学ぶのに適している本だと考えます。