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美徳のよろめき (新潮文庫)

価格: ¥380
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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個人的には隠れた名作 ★★★★★
この作品はあまり有名ではないが、非常に三島さんらしい作品である。ごく簡単に言えば「女性批判」の作品だろう。

節子は非常によく教育され“美徳”を持っている。しかしその“美徳”とは真に彼女の精神に埋め込まれたものではなく、単に教育された一形式に過ぎない。その証拠に彼女は肉体的貞操を保ってさえいれば、夢や空想上で何をしてもかまわぬと本気で考えているのである。
またよく表現されているのは、節子は性欲から来るものをよく知らない、だから夫が見る「写真」も理解できないし、まただからこそ自分は精神的で道徳的だと考えているところである。しかし“性欲がない”ということと“性欲があるということを認識できない”ということは大きく違うのであり、状況さえ揃えば、本人も知らぬ裡に、節子は“肉”の世界の底に簡単に沈んでゆくのである。従って最終的に節子は肉体的貞操も犯してしまう。これは一般的な女性にも言えることである。

このようにこの作品では女性の“精神”がいかに疑わしいものかということを、節子の“美徳”がよろめいていく様を書くことによって描き出している。女性にとっては非常に不愉快かもしれないが、表現なども非常にすぐれたものだと思うので、様々な方に是非読んでいただきたい作品である。
著者の女性観たわかる気がします。 ★★★☆☆
何の不自由もないのに、いや不自由がないから逆に刺
激を求める有閑マダム(死語)の気持ちがよく出てい
ます。
 現実が息苦しいなら、不倫ぐらいストレートに自分
の気持ちを出した方が息苦しくないのに、そこは三島
ワールド、ヒロインのプライドか、不倫相手に対して
優位に立ちたいのか、素直に感情を出さない屈折した
心理描写が、少々むずかしげに描かれています。
 この辺が評価の分かれ目でしょう。
すなわち純文学派は、この心理描写がすばらしい。
大衆小説派は、ややむずかしく「潮騒」や「永すぎた
春」の方が良いと。
 終わり方は、少々ちんけですが、三島の女性観や上
流階級に対する見方がわかるようで、楽しめました。
ゾクゾクする背徳ラブストーリー ★★★★★
この小説は私が三島文学に傾倒するきっかけとなった一冊だ。内容は背徳を犯す子一人抱える若き未亡人節子と、昔一度接吻しただけの青年土屋との官能めいた背徳ラブストーリーである。しかし何とも美しく表現豊かな書きっぷりで、三島マジックにより背徳が美徳に映る錯覚に陥ったのは私だけはないはず。
私が特に印象に残っているのが、背徳を犯す節子が、その罪を息子の菊夫に
「ねぇ、お母様をゆるしてくれる?」と目で訴える。しかし息子がただ笑うだけだが、その目は「いいえ、ゆるしません!」という辺りのやりとりが、ゾクゾクしたのを思い出す。
比較的読みやすい作品 ★★★★☆
いわゆる「不倫」を題材にした小説です。三島由紀夫らしく、濃厚かつ観念的に登場人物の心の動きを描写しています。ストーリーと人物設定については今ひとつ現実感が乏しいような印象も受けたのですが、比較的読みやすく、まとまった作品だと感じました。

以下は参考情報です。初めて読む三島作品を一つ選ぶとしたら、本作の『美徳のよろめき』か、『潮騒』『永すぎた春』『美しい星』『音楽』あたりが無難かもしれません。これらは、三島由紀夫に特有の"毒"が弱めであり、比較的スムーズに読めると思いますので。

その上で、よりディープな作品(『愛の渇き』『沈める滝』『鏡子の家』『宴のあと』『獣の戯れ』『午後の曳航』『絹と明察』など)を読み、さらに、『仮面の告白』『禁色』『金閣寺』『豊饒の海』などに進むと、一番抵抗なく読めるのではという気がします(私が読んだ順番はめちゃくちゃでしたが・・)。
美しい文学とはこれか・・・ ★★★★☆
学校の授業でしか聞いたことの無かった「三島由紀夫」「美徳のよろめき」。
文庫本の薄さから手軽感もあり、読んでみました。
はじめはなかなか慣れない文章に読み難さも感じましたが、徐々に引き込まれます。
引き込まれるのは、その文章の美しさ!ストーリーは普通の恋愛のお話。
でも、普通の話が美しく表現され、感動してしまいした。

もちろん内容の面白さも楽しみの一つではありますが、文章を楽しむ事を教えてくれた作品です。