行政経営のバイブル
★★★★☆
著者北川正恭さんは正常なる異端の前三重県知事。現在は早稲田大学大学院公共経営研究科教授であり、政治の中にあってはマニュフェストを提唱し、広めようと日々活躍されている方です。と、私がご紹介するまでもない今が旬の方です。
官僚主義の蔓延する三重県庁で改革知事として孤軍奮闘、やがては役人の信望も得、着々と改革を断行した知事2期8年の行政経営改革実践の記録。
行政組織という同じ職場にいる私にとって、ボスにしたい方でもあり、その語り口といい、実践のエネルギーには畏敬の念を禁じえません。
改革に必要なエネルギーは何かといえば、それはコミュニケーションだと強く感じました。行政職員との頻繁な居酒屋でのディスカッション、それも仕事を終えての夜。こうした積み重ねがお互いの距離を縮め、やがては共感するに至っています。
さて、「生活者起点の行政革命」って、当たり前ですよね。これが行政経営のイノベーションになること事態が異常であったということですが、行政とはこんなにもずれていたのかと再確認。生活者には説明のつかいない理屈を考え、行動しない(先ず、行動しないことを考える癖がついているのが今の理事者と行政職員です。)ケースに度々ぶち当たり、何とかしたいと思うのですが....
地方交付税の減額や地方分権で財政的に逼迫し、行政課題の山積みの今、地方自治体は本格的に地域経営を考え実践しなければならない時期にあります。このため、著者の実践の記録は地方自治体の理事者や議会関係者、職員達には格好のバイブルとなるはずです。