商品企画に科学的手法を導入した画期的なシステム
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本書は「はやわかり編」であり、他の2冊「よくわかる編」「すぐできる編」とあわせた三分冊の最初の本である。技術や品質が世界トップレベルの日本において、商品企画という業務が一部の有能な個人に依存しており、状況を打破したいという著者の想いから完成した商品企画七つ道具(P7と呼ぶ)関する本である。
商品企画を職人芸ではなく、システム(業務の流れや手法の体系が決まっているもので、誰がやってもある程度のことは失敗せずできるもの)として体系付けられている。一連の流れの中で、各Stepでのアウトプットが次のStepのインプットとして活用されるようになっており、定性的なグループインタビューやアンケート調査・アイデア発想法と多変量解析・コンジョイント分析などの定量的な解析手法を活用し組合せすことで、高価値商品を企画する方法であり、最終的には品質表に落としこんでいる。
従来、新商品のリスクを低減するためには、その商品の発売前にアンテナショップで試験販売されることがある。しかし、このような手法は文具であれば可能であるが、車や電気製品では現実的に不可能である。P7では、試験販売前の企画段階でコンジョイント分析をおこない最適化することにより、その商品企画のヒット確率を大幅に向上させている。
大前研一氏も、著書「考える技術」の中で、具体的で効果的な方策を提案するためには、仮説を実験計画法などで定量的に検証することが重要と述べているが、まさに同じことを言っていると思う。
本書は、入門編という位置づけのため、商品企画七つ道具についてとてもわかりやすく解説している。ただ、本の装丁(色、装丁)からか、内容が薄そうに見えるのが残念である。