個人体験談+α
★★★☆☆
私自身、昨年躁鬱を発症した患者です。
たまたまこのレビューを発見した翌日に、たまたま市内の図書館でこの書籍を見つけたという、素晴らしい偶然です。
基本的に個人体験のレビューです。ただ、同病の患者としては、様々な出来事での心理状態の体験談は、自分と照らし合わせる意味で有益な情報となりえます。やはり患者は自分の心理状態に対して不安な訳ですので。これらのパートはかなりのボリュームですので、寛解状態ではなく計躁状態で執筆されたのでは?というのご意見に同意します。
ところでこれまた偶然ですが、どうやら私は著者と同じ病院に入院していたようです。なぜなら、病棟生活の様子が詳細に紹介されているのですが、施設によって大きく異なるであろう、病棟の構造や1日のスケジュールなどが完全に一致したからです。知る方なら間違いなく分かってしまうでしょう。他の本文も同様に、その気になれば個人情報を特定できしまいそうな危うい記述が多いように思いました。この点は配慮が必要ではないかと思います。
最後に、各種公的支援の紹介では、私も1つ新しい情報を得る事が出来た、非常にラッキーでした。
買うほどの本ではない
★☆☆☆☆
価格の割に内容が薄い。「内容が薄い」というのは今やこの程度の情報であればインターネットを通して入手できるからだ。「取材に基づく」、「実体験に基づく」点がネットとの違いかも知れないが、それでも読者にとっては著者という主観を通した二次情報に過ぎないのでネットと同じ扱いであろう。第三部の各種公的支援の紹介はコンパクトにまとまっていて役に立つ方もいるだろうがこの値段は高い。近所の図書館にリクエストを出して入荷後に借りる程度で十分である。
酷評したが、双極性障害を患いながらも聞き取り、執筆を続け、脱稿に至った著者には脱帽である。一方で、「患者」の状態である脳が聞き取り、執筆、整理した文章であることを念頭に置いて差し引いて読まねばならない。私が見た限りでも少なくともこの文章が書かれていた時の著者は寛解しておらず、軽躁状態であったように読める。