日本のこころの原点60曲
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「教科書」と言えば「学校の」が意識されますが、本書タイトル「こころの」がいいですね。この二姉妹の唄・歌いぶりは教科書的ではあっても、しんみり「こころ」に沁みてくるものがありますから、まさにこの「あしたへ贈る歌」は日本の心のやさしさ、そのものです。
どの曲を選ぶか迷ったことでしょう。60曲厳選ですからね。昔ながらの古い歌でありながら、未来に歌い継がれるべき歌を執拗に(しかし、心から)選んでいると思いますよ。
巻頭【花】の歌詞の解説で、作家田辺聖子は源氏物語・胡蝶の巻に〈春の日のうららにさして行く舟は棹のしづくも花ぞちりける〉を踏まえているであろうと指摘している。
【この道】では作曲者山田耕筰の「いとけなかりし日を想ひ、…どうか母を慕う心をつれびきとして、この小さな歌を唱ってください」を引用している。
巻末【花〜すべての人の心に花を〜】は沖縄のポップスを代表する曲。むつかしい歌詞は一つもない。「泣きなさい わらいなさい」「いつの日か いつの日か 花を咲かそうよ」のリフレインが素敵である。
日本のこころ優しい姉妹の代表のような二人。寄る年波には勝てないでしょうが、そのうたうこころは衰えることなく、童謡コンサート20年2000回。今後を祝福せずにはいられない。