私的怪談 (真梨幸子)
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私は、八月が苦手です。
広島・長崎の原爆投下の日、日航機墜落の日、終戦記念日、……と続き、テレビなどもそれらの特集を組み、暗い雰囲気に染まります。本来は、明るく楽しいバカンスを楽しむ時期なのに、物心つく頃から、八月はなんとなく気鬱です。
でも、それも当たり前のことなのかもしれません。八月は、お盆がある月でもあります。そう、あの世とこの世がつながり、あの世から死者を招き入れる月。
そんな八月。
ある計画が頭に浮かびました。
それは、私が今まで体験した〝不思議な話〟をまとめてみようという計画です。
そもそも、私には霊感はありません。だから、幽霊をはっきりと目撃したことも、霊と対話したこともありません。そんな私が体験した〝不思議〟ですから、どれも他愛のないものです。起承転結もなければ、伏線もなく、もちろん〝オチ〟もありません。こんな話、とてもじゃありませんが、どこの版元も相手にしてくれません。だから、私の胸の奥にこっそり秘めていたのですが。
でも、やっぱり、どこかに記録しておきたい、不特定多数の人に見てもらいたい。……小説家のサガですね。
ということで、今回、〝電子書籍〟という手段で発表することにしました。
繰り返しますが、どれも他愛のない話です。だから、〝イヤミス〟も〝オチ〟も期待しないでください。
その代わり、すべて〝真実〟のお話です。
二〇一七年八月某日 真梨幸子
【内容】
〈ゲス不倫の行方〉
〈夢見ヶ崎の話〉
〈ゲジゲジアパート〉
〈残された絵〉
〈祠の中身〉
〈いらない子〉
〈マチコちゃん〉
〈電電公社〉
〈盲腸がいっぱい〉
〈マンション富豪〉
〈初めての金縛り〉
〈そっくりさん〉
〈もうひとり、いる〉
〈二度目の金縛り〉
〈拷問部屋〉
〈あれ、ここは……〉
〈初めての心霊写真〉
〈宙に浮く手〉
〈小さな手〉
〈あなたの左肩に……〉
〈エレベーターに乗っていた人は?〉
〈後日談〉