フィンガー・ポッピン (紙ジャケ仕様)
価格: ¥2,571
アート・テイタムはソロピアノ、ビル・エヴァンスはピアノトリオという具合に、各自得意の編成がある。ではホレス・シルヴァーはどうかというと、ソロピアノは似合わない。トリオによる録音もあるが、むしろクインテットを中心とするホーン入りの編成を好んだ。
こういうタイプとしては、ほかにハービー・ハンコックがいる。ホレスとハービーは作曲者としても有能であり、作曲面を含め、自身の才能をフルに発揮するにはこうした編成が好都合だったようだ。
時代によっていろいろなバンドを率いたホレスだが、ファンキージャズを代表するバンドなら、やはりブルー・ミッチェルとジュニア・クックがいた時代が最高にすばらしい。アルバムでいうと、59年の本作に始まって、『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』『ホレス・スコープ』『ドゥーイング・ザ・シング』『トーキョー・ブルース』『シルヴァーズ・セレナーデ』を経て、63年の『ソング・フォー・マイ・ファーザー』に至る時代だ。本作ではタイトル曲のほか、<3><5>が印象的なトラックだ。(市川正二)