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うめぼし博士の逆(さかさ)・日本史〈神話の時代編〉古墳→弥生→縄文 (ノン・ポシェット)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 祥伝社
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ユニークな発想が光る歴史観 ★★★★☆
本シリーズは歴史を通常のように起こった順に辿るのではなく、ある時代を起点として、その時代に起こった出来事を考察し、その出来事が起こった理由を、前世代の人々の思想・行動に求めるという発想の逆転を行なったユニークな歴史書。本書では古墳時代から出発し、弥生、縄文と古代史ファンには興味津々の時代を考察する。

まず古墳時代にあたっては、聖徳太子という古今随一の聖人の実像に迫り、また太子と仏教の関係を改めて考察する。太子を「歴史」と「神話」の接点と定義づけている辺り面白い。次いで、古墳時代全体に触れ、この時代が王朝内、熊襲、隼人、蝦夷等の異民族との争いの時代だった事を検証する。古代史ファンの興味の的である継体天皇の謎、磐井の乱についても言及する。弥生時代ではヤマトタケルと卑弥呼を象徴として取り上げる。前者は先の戦いの象徴とし、後者は祭祀的統治の象徴とする。そして共に農耕生活に寄与したとする。最後は、神話で語られる縄文時代の生活、性意識、そして神の概念を語り、八百万神の思想が現代にも繋がる事を述べて、見事に歴史のサイクルを完成させる。

内容を読むと、必ずしも歴史を逆順に辿る強い必然性は無いのだが、歴史の繋がりを読者に強調するために敢えてこうした方法を採っているのであろう。私が本書を読んだのは今から30年以上前の10代の頃だったが、確かに読み易かった記憶がある。現在では、本書執筆時点に比べ、古代の研究が主に発掘調査によって進んでおり、内容の一部が古くなってしまった感があるが、これは古代を対象にした書の宿命であろう。著者のユニークな発想の多くは今でも生きている。古代史ファンの方には無条件でお勧めできる発想豊かな一作。