日本の特別地域 特別編集48 これでいいのか 東京都 世田谷区 第2弾
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当シリーズでは以前に1度、世田谷区を扱っており、今回はその第2弾である。前作では、まず世田谷の高級イメージをぶち壊すところから始め、そこから世田谷の現実と真の姿を見出そうとした。その試みは成功したと自負しているが、前作から約4年、相も変わらず世田谷は「高級幻想」に苛まれている。
世田谷の高級幻想とは何か?多くの芸能人や金持ちが実際に住んでいる世田谷は、高級住宅地、セレブタウンとして認知されている。さらに今、下北沢や三軒茶屋、二子玉川といった人気タウンを筆頭に、区内の多くの駅とその周辺が再開発で変貌を遂げつつあり、世田谷という街の「パッケージ」は洗練度を増している。だが、そうした「かたち」にこだわっているのは得てして余所者。彼らが世田谷に住んだ、あるいは住みたいという背景には、自己顕示欲の充足という意図が多分にある。彼らが世田谷に求めるのは「ステータス」であり、「一流」の看板。とはいえ、単に世田谷に住んだからって一流ではない。高級幻想を抱きつつ世田谷へ住み、一流だと勘違いした者たちは、成り上がり精神全開で、小ずるく狡猾に世田谷ライフを謳歌しているのだ。
もともと農村地帯だったのに、やがてハイソと呼ばれるようになった世田谷は、そもそもが成り上がりの街ではある。だが、ハイソ(一流)な部分はあっても、いい感じに田舎臭くて自然体なのが世田谷の美点である。世田谷とは本来、一流でも二流でもなく“1.5流”ぐらいがしっくりくる街。そんな「中の上」を地で行く世田谷民こそ、「世田谷の正統派」といえるだろう。
本書では、冒頭に書いた前作のテーマを引き継ぎつつ、現在の世田谷の問題点を取り上げ、さらに区内にうごめく新旧世田谷民の実態に迫ってみた。知っているようで知らなかった世田谷がここにはある!