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日本の経済針路―新政権は何をなすべきか

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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経済政策の方向性を鮮やかに描いた好著 ★★★★★
 鈴木氏は、日銀で理事まで務め上げた後、野村総研を経て、衆議院議員になられた方です。正直、本著を手にとるまでは、その存在さえ知りませんでしたが、想像以上にすばらしい内容に感銘を受けました。

 本書は、そのタイトルが示すとおり、政権交代後のそしてまた金融危機後の日本経済の進むべき針路を提言するものです。元日銀マンらしく、随所に緻密な分析がちりばめられている点において、他の三流エコノミストが書いた経済書とは一線を画しています。

 本書では、まず、日本経済の現状を、物価、為替、賃金等々のマクロ指標により分析します。その次に、前回の景気拡大の時期にあたる小泉内閣による経済政策を、「財政緊縮+金融緩和」との「ポリシーミックス」であると整理した上で、この政策により企業・家計間の格差、及び輸出企業・国内企業間の格差が広がったと否定的に評価します。そして、小泉改革が残した教訓を踏まえ、新政権は「財政中立+正常金利」のポリシーミックスにより「国民生活重視の内需主導経済」を実現すべきと結論付けます。

 この結論は、円高論を唱える榊原英資や投資立国論を唱える野口悠紀雄と類似するものですが、1.マクロ指標をきわめて丁寧に読み解きながら議論を展開している点、2.今後目標とすべき経済指標を「GNI」と明確に打ち出している点、3.金融政策について深い洞察を行っている点において、より洗練された内容になっています。

 今後の経済政策のあり方について思考を巡らせたい方には、是非とも本書を手にとっていただきたいと思います。
大不況から脱出するための新政権の経済運営への力強いヒント ★★★★★
民主党政権がスタートし、多くの国民が期待と不安の中で毎日のニュースを見ている。本書は、日本銀行出身で衆議院議員の経歴を持つ著者が「ポリティカル・エコノミー」の本として、総選挙の直前(09年7月)に刊行した本である。一言で要約すれば、「大不況から脱出するための新政権の経済運営への力強いヒント」と言える。

著者は、バブル崩壊以降の日本経済の低迷の原因や小泉改革の欺瞞性を、データをベースに論証する。端的には、経済政策の失敗と古い政官業癒着の日本の構造が、超低金利、円安、物価上昇、雇用・所得不安という国民の四重苦をもたらしたとする。これまでマスコミで散々聞かされて来た市場原理主義者達の見方とは正反対で、「経済」とは見方を変えればこうも違うものかと驚いた。

結論として、国民生活重視、環境重視を軸に、アメリカに過剰に頼ることなく、アジアとの結び付きを強化することで、内需主導型の自律的な発展は可能であると説く。民主党のマニフェストとの方向性も一致しているように思われる。「日本は自信を失ってはいけない」というのが本書の最後のメッセージである。新政権の経済運営を見守る上での最良の参考書としてお奨めしたい。
混沌の経済論壇を象徴する1冊 ★★☆☆☆
日銀出身であり官庁エコノミストと言うイメージの強い鈴木淑夫による「民主党がとるべき経済政策」(本書オビの文句)の緊急提言というスタンスの1冊。サブタイトルにも「新政権は何をなすべきか」とある。

書中では、小泉・竹中ネオリベ経済路線を否定するなど、現在の経済論調に親和的な面も見られる。
しかし、現在の製造業重視の経済論からすると真逆の円高歓迎・円安こそ危機というスタンスを取っているところ、橋本政権時代の金利上げ緊縮政策を間違いとするクルーグマンの見解(デフレは継続している)とは正反対の見立てをし、均衡財政を取らなかったことが今日の危機に続くという主張をしているところが、新鮮と言うよりは奇異だ。
著者が製造業ではなく、金融業筋の人だということははっきりわかる。しかし、最早こうなると評価を下せない。

何をもってデフレと見るか、インフレと見るか。本書の眼目はそこにもあるが、経済論壇ではそれもまた様々な見解が入り乱れる。単純な愛国経済や素朴なケインズ遵奉、「自由主義派」中の真逆の政策論と混迷経済論戦はますます混沌。ハイエク、フリードマン路線だけは旗色が悪いが。