なぜか「仕事が速い」人の習慣
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土木関係の仕事をしているその男性が悲鳴をあげていたのは、毎日、膨大な資料を読まなければならないことでした。A4用紙で数十ぺージ以上の資料が連日、手もとに上がってくるのです。
きちょうめんな彼は、まじめに一枚一枚熟読していたといいます。しかし、過剰ながんばりは長続きしないものですし、この量では憂鬱になるのも当然です。ただ読むだけではなく、理解し、必要な部分はおぼえた上で会議や交渉、説明などをしなければなりませんから、いくら時間があっても足りません。
そこで思いついたのが速読です。なんとか速く読みたいと速読教室を探しました。けれど、どこも受講料は高く、しかも仕事以外に時間を設けてトレーングをする必要があるのです。それではますます時間が足りなくなってしまいます。多忙な身には、とてもムリです。
こうしてたどりついたのが、手前味噌で恐縮ながら、私の速読教室でした。通う日数はたったの五日。しかも値段が安い。トレーニングは毎日やるにこしたことはないものの、重荷になるほどではありません。
実際、彼はほとんどトレーニングしなかったにもかかわらず、実戦的な速読力を身につけて活用できるようになりました。今では、どんな量の資料が届いても憂鬱になることはないそうです。
私たちは、自分にも他人にも「がんばれ」という言葉をよく使います。社員研修やコーチングをしている私自身、「がんばるという言葉は好きではないのですが……がんばりましょうね」とつい言ってしまうことがあります。
「がんばる」は、『広辞苑』によると、もともとは「我に張る」意だそうです。ゆるんだ弦ではいい音が出ませんから、自分の我にピーンと弦を張って、いい音を出そう、つまりよりよい人生を送れるようにしようという意味だと、私は解釈しています。
しかし、実際は、わざわざ他人から言われなくても、みんながんばっているのです。心が疲れたり、トップを走っていたり、あせりを感じたりしている人は、むしろ他人よりがんばっているのです。
「これ以上、どうがんばれというのか」という悲鳴が聞こえてきそうです。 ですから、もう、がんばる必要はないと思いましょう。がんばらないほうがいいのだと考えるのが正解です。
代わりに「要領」を身につけることです。
要領という言葉には、少しネガティブな印象があります。ずる賢く立ち回る人を連想するからでしょうか? だとすれば、居直ってその立ち回り方を学ぼうではありませんか。過剰にがんばって疲れ果ててしまうより、よほどましです。
少なくとも、「人生は要領だよ」とは言えなくても、「仕事は要領」「勉強は要領」ということは強調したいのです。
・仕事を速くする要領
・仕事を楽にする要領
・仕事ができるようになる要領
などを本書でお話していきたいと思います。