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子供たちは森に消えた (ハヤカワ文庫NF)

価格: ¥924
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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下手なMystery小説を読むよりもずっと手に汗握る ★★★★★
我々日本人には馴染みの薄い旧ソビエト連邦時代に起こった恐るべき連続殺人事件を捜査側から描いたNon-Fiction小説である。

まずこの本を手にしたとき、舞台がAmerica又は西洋諸国ではなく、社会主義真っ只中であったソ連と言う点で、『読んでも面白いかなぁ』と若干の不安を抱いていたのが正直なところ。
確かに登場人物の名前が皆似ており、非常に覚えにくく、最初の20頁ほどは読み辛かったが、読み進むに連れ、どんどん引き込まれてしまったのも事実。

兎に角、この本がNon-Fictionだという点に驚かされる。
つまり現実に起こった話だというのが空恐ろしい。
又、ソビエト連邦という国の社会情勢も具体的に描かれているので、それだけでも興味深く読めた。

これだけ抑圧された社会において、犯人(敢えて名前は伏せます。知らずに読めば、推理小説としての醍醐味も味わえます。私は事実そうでした)のような異常者が産まれても仕方がないだろう。
思想的に開放され、物資的に満たされた自由主義、資本主義社会においても、異常者は産まれているのだから、当時のソ連でこのような事件が起こっても何ら不思議ではない。

こういった社会情勢に非常に近しい隣国(北××)で、このような不幸な事件が起こらない事を祈ります。
★★★★★
ノンフィクションものではありますが、犯人の実像を捜査官の目線で追う手法はミステリー的な要素も含んでいて読みやすいです。が、それ以上に赤い切り裂き魔チカチーロの実像はとにかく圧巻。共産主義が生み出す矛盾とソビエトの民警組織の不備を追い風にするかのように、このモンスターはソビエト全土に魔の手を広げて行きます…
一番詳しく書かれているとは思いますが…。 ★★★★☆
チカチーロについて書かれてある本は結構読んでいるつもり
ですが、この本が全てにおいて一番詳しく書かれているので
はないかと思います。しかし、正直どうでもいい内容も多かった
です。担当刑事さんの経歴なんて正直全く興味ありませんでした。
こういう部分を削っていけばだいたい半分くらいのページ数で済ん
だんじゃないか?とも思います。というかチカチーロについて書いた本は
担当刑事等についてもやたらと詳しく書かれたような物が多い気がします。
なぜ!?

ただ、事件の内容等についてはかなり詳しく書かれてあるのでチカチーロに
関する本の中では一番オススメだと思います。
ソ連の時代背景がわかる本 ★★★☆☆
 犯罪についてよりも日本とかなりかけ離れた生活、民族文化をも細かく説明されており、
時代背景が良くわかるものとなっている。
日本の平均的住居が下水などそういう面でも恵まれていたのだなあと、
あまりの差に驚いてしまった。
ただ犯罪重視の情報を求めて読む人には、まどろっこしいと思われる内容だ。
じつに客観的に解りやすくお国情勢を描いた部分が読みづらくもある。
 犯人のチカチーロは8年間に50人以上もの命を奪った異常殺人者であるが、
幼い子に教師時代にいたずらをしていた事などで訴えていれば、
前歴がついて捜査の対象にされただろうと、犯罪を食い止められなかったことが残念だ。
 捜査に手違いが重なったため、犠牲者を出し自分の欲望を満足させてきたというのは、
本当に悪運が強いというか。犠牲者が報われなく思えた。
 ただチカチーロが多重人格というのは、間違いだと思う。
刑務所で、自分の罪を脅迫まがいに告白させられたり、独房で考えさせられたりして、
裁判の時、いろいろ変な行動を起こしたのは、段々と気が狂ってしまったのでは?と思った。
連続殺人事件の全貌が明らかになる。 ★★★★☆
ノンフィクションです。
1982年ロシアで起きた連続殺人、なんと8年間に50人以上もの命を奪った異常殺人者、
アンドレイ・チカチーロの素顔を暴く、驚愕の犯罪心理ノンフィクションです。
逮捕され、裁判が始まり、法廷には鉄格子の檻の中に収容されているチカチーロの画を
覚えている方もいるのではないでしょうか・・・。
私はずっとそれ(檻の中にいるという事)が、彼が凶暴な為にしているのだと思ってました。
ところが違って、遺族による復讐から守る為のものだったのです。
確かに傍聴席の被害者の身内からは罵声が飛び交ったり、檻に近づく者もいたようです。

この本は社会情勢をはじめ、被害者一人ひとり、又は事件を担当した捜査官に至るまでの
性質について実に丹念に書かれています。
犯罪心理の方に興味がある私としては、ソ連邦崩壊の社会情勢については難しかった、
というか飽きてしまったというか・・・ロシア人の名前も聞き慣れないせいか大変でした(T_T)
それよりも事件について知りたい気持ちが先なので、流し読みしてしまった・・・(汗)。
まぁ次からは少し余裕を持って読めるかな~といったところですかね。

しかし、よくもまあ8年間も捕まらずにいたな…というのが正直な気持ちです。
全く目撃者がいないんですから、これだけ殺人を犯して、信じられません。
チカチーロの生い立ちから普段の振る舞い、正常なのか人格異常なのかなどの
犯罪心理を暴く辺りは興味深いところでした。