養老学入門に最適
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子供の質問が小賢しさのないストレートなものなら、養老氏の答えもそれをジャストミートで打ち返すような生の言葉の応酬。そこから生まれる、ほとんど落語のような面白さ。その中に養老氏の考え方の真髄がしっかり入っています。
大変面白い養老哲学
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本書は、理論社のホームページの「人間科学なんでも質問箱」
コーナーにメールで寄せられた質問・相談に対して、著者が
回答したものをまとめたものである。質問者は、主に子ども
が多いが、大人からの質問も含まれている。
本書のつくりとしては、小学生でも読めるように、漢字には
ルビがふられている。また、受け答えも小学生にも分かるよう
に、易しい文体で書かれている。
しかし、その体裁とは異なり、内容は極めて深いと感じる。
すなわち、回答の発言に深みがあり面白いのである。いい大人で
あるはずの私も理解するのに難しい箇所も少なからずあるし、
著者の著作に通じて言えることだが、著者の頭の良さを感じざる
を得ない(こう書くと、著者から叱られそうですね。
「頭がいい」のではなく、「物事を深く考えているかどうか」だ、と)。
また質問によっては、数行で回答を終えてしまう場合もあり、
子どもであっても切って捨てるほど厳しく回答する場合もあり、
まさに「養老節」を感じる。
著者の考え方を著者独特の文体で綴る、子どもから大人まで
楽しく読める一冊である。
くしゃみしても脳みそがお鼻からでません
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ときとして子供の素朴な疑問は核心を突いてくる。「バカって、治るんですか?」と真顔で問われたら、私は出来る限り沈痛な顔で「大変、残念なのですが、、」と応えています。また「くしゃみをすると脳みそがお鼻から出ませんか?」と問われたら「ごく稀にですがあります。トコロテンみたいに両穴から噴出します」と応えています。できる限る真面目な顔なほうが面白いのは言うまでもありません。
この本のすばらしいところは、思春期の子供が抱くだろう疑問に「あなたは普通です」「気にすることはありません」「考えがたりません」というような形で、理屈云々でなくて応えているところだと思います。少し前、「なぜ人が人を殺しちゃまずいのか?」とか、「なんで売春しちゃいけないのか?」ということを子供にいかに教えるかということが問題になりました。理屈じゃなく、駄目なものは駄目なんです。
わざわざ小難しく、これを「近代人は身体から疎外されている」なんてところから説き起こす必要はありません。バカなおとなにならないためには、過度に言葉に頼っちゃいけません。この本を読むと、身体を使える大人にならなきゃという気になります。でも、身体しか使えない大人になっちゃったら、それはそれでつまらない。文化なんて理屈の体系みたいなもんだし。。。とか、言っちゃいけない!
お勧めできる良い本です。
子供を脳化社会から救うために
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バカなおとなにならない脳 養老孟司 理論社 2005
養老さんが子供や少年少女からの質問に答えるという形での文章。
子供版バカの壁にも思えないではないか、基本は養老さんの本質的な思想を若干噛み砕いているにすぎない。脳科学の間違いや都市伝説的思い違い、元をただせば大人が物事を良く考えてないという結論に至るのだろう。そう、脳化社会。
子供たちが都市化している現状を、いつもの参勤交代論で、子供も田舎で生活して自然の中で育つことを求めている。
バカな大人にならない事が日本を救う事になるのであろう。逆にいえば、バカな大人ばかりの現状が非常に大きな問題なのである。
大人が読んでも実に楽しい1冊です
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大人が読んでも実に楽しい1冊です。
子供たちの真剣な悩みに養老先生が耳を傾ける。大半の質問には実に真面目に応えている。しかし科学では解決ができない、もしくは悩んでもいたしかた問題に対しては見事なまでのかわし方をしている。決して子供たちが不快な思いしないような応え方なのだ。このあたりのテクニックが面白い。著者は楽しみながら応えているのでしょう。