[ディアドラ] スニーカーCAMARO(ユニセックス)
価格: ¥0
ソールの厚さ:3.5cm
モダンクラシックというお題に対する、もっとも優秀な回答例。
ここに数葉の写真がある。
テニス、サッカー、1500メートル。そこに焼き付けられたのは、それぞれのカテゴリーで世界を制した、スターの足元を支えたシューズだ。履き込んで、くたくたになったその3足は仕事をやり終えた男のような、いい顔をしている。
イタリアはヴェネト州のカエラノで1948年に登山靴メーカーとして創業するも、ほどなくテニスやサッカーの分野に進出し、ディアドラは頭角を現す。社内に擁するラボラトリーが生み出すテクノロジーとイタリアならではのアルティジャーノ精神が高度な次元で融合したコレクションを、一線で活躍するアスリートはこぞって相棒に選んだ。70年代以降のディアドラとアスリートは一種の蜜月関係にあったといっていい。
21世紀にスタートしたDIADORA HERITAGE コレクションは字句通り、遺産を現代に蘇らせたコレクションであり、先の写真はその元となるスニーカーを撮影したものである。これはもう、驚くほかないが、デザインを復活させるのみならず、製靴工程に必要なラストとソールの金型もまた、当時のそれを使っている。古式ゆかしい英国靴の世界ならまだしも、大量生産を旨とするスニーカーにおいてそれらのツールが残っているのは奇跡に近い。
これにストーンウォッシュやビンテージ、ワックスといった現代の加工技術を駆使することで、郷愁を誘いつつ、現代のスタイリングに欠かせない抜け感の効果をも具えるにいたった。
いま、ファッション業界はモダンクラシックというお題をめぐって試行錯誤しているが、DIADORA HERITAGE コレクションはもっとも優秀な回答例といって差し支えない。イタリアの洒落者の間で圧倒的に評価されている事実が、それを如実に物語る。