不在 (角川書店単行本)
価格: ¥0
長らく疎遠だった父が、死んだ。
「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」。不可解な遺言に、娘の明日香は戸惑いを覚えたが、
医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決めた。
25年ぶりに足を踏み入れた錦野医院には、自分の知らない父の痕跡が鏤められていた。
恋人の冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むに連れ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、
さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。
次々現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて――。
愛情のなくなった家族や恋人、その次に訪れる関係性とは。気鋭の著者が、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る。
喪失と再生、野心的長篇小説!
※電子書籍特典、著者直筆のメッセージつき!