ロナン・ハーディマンはマイケル・フラットレーによるアイリッシュ・ダンスの華麗なショー『Lord of the Dance』『Feet of Flames』で、作曲家として初めて名声をものにした。2作目のソロアルバムとなる本作では、フラットレーとのコラボレーションでの執拗(しつよう)なまでにリズミカルな音楽から離れ、よりくつろいだ情緒あるスタイルの曲作りとパフォーマンスを聴かせてくれる。「Ready for Life」などのトラックでの圧倒的なシンセサイザーの音色はエンヤの妙なる音楽を思い出させ、「Salve」で用いたラテン聖歌は幽玄さが薄らいだエニグマのように聴こえる。また「That Place in Your Heart」「Heaven (Waiting for Me There)」では、印象的なメロディーを書く才能を発揮している。そして両曲ともレスリー・ダウダルが美しく歌い上げ、思いがけず楽しくポップな輝きを放っている。本作のトラックにはアイリッシュ的な要素は前面には出ていないが、ハーディマンの強力なメロディー・センスと神秘的なテイストによって、愛くるしいケルティックな雰囲気が吹きこまれている。(Michael Simmons, Amazon.co.uk)