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小学校教員のためのプログラミングで考える教育の実践入門

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カテゴリ: Kindle版
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 日本における教育手法は、板書を中心とした受動方式が根付いている。世界との競争力を身に付けさせるために、コミュニケーション能力を養うことのできる“考える教育”を小学校の段階から実践することを公表し、2020年度の新学習指導要領に教える内容を盛り込む方針が検討されている 。その一つとして、プログラミング教育の必修化が検討されている。そして、文科省は、官民でプログラミング教育を推進するために、“未来の学びコンソーシアム”を立ち上げている 。
ところで、プログラミング教育といえば、コンピュータを伴う情報処理という教科があるが、小学校では新教科を開設して行うのではなく、既存の教科の中に教科横断的に盛り込むことが考えられる。
 小学校で開講されている教科の中にプログラミング教育を導入するためには、パソコンに熟知した教員を揃えなくてはならない。文系出身の教員には、スイッチ・オンでプログラミング言語が起動する教材環境が必要である。この環境に適合した教材として、IchigoJamワンボードパソコンが提案されている。IchigoJamにはLED(光)や圧電サウンダー(音)が装備されており、プログラミングの導入を考えるとき、生徒は光や音を使った五感での体験学習ができるのが特色である。
一般にパソコンは、生活便利道具としてOSとインターネットを介してアプリケーションを利活用するためのツールとなっており、素人の教員にとって“考える教育のためのプログラミング”には多機能すぎて適していないのが現状である。その点、IchigoJamパソコンはセットさえしておけば、スイッチを入れるだけでBASIC言語のインタプリタ画面が表示されるので、小学生であってもプログラミングしたい教材があれば即、キーボードから打ち込み、プログラムを実行することができる。すなわち、考えたことを即、プログラミングで実行できる。BASICはインタプリタ言語であり、感覚的に理解しやすく、エディタも一画面主義なので、実行しようとするプログラムの中身が一見できる。
 情報活用能力育成において、コンピュータでの文字入力等の習得や、プログラミング的思考の育成には、BASIC言語でのインタプリタによるプログラミングのトレーニング教育が適している。
 そこで、始める前にIchigoJamハーフキットをはんだ付けで組み上げることで、パソコンのハードウェアをそれなりに学習することができ、自分で組み上げたという達成感の下でプログラミング学習環境を設定できることが特長である。
IchigoJam BASICは、パソコン黎明期(1980年)のNEC, PC-8001のBASICと同じで、考えたことをプログラミングして実行するという思想の下、やりたいことがあればプログラミングすることができる。本書で、プログラミング言語としてBASICを選択した大きな教育的理由は、パソコンの三種の神器となっているオフィス、Excel標準装備のVBAでBASICプログラミング力が生かせる点である。小学校時代にIchigoJam BASICでプログラミング教育を行うことによって、①プログラミングの短時間学習、②キーボードでのタイピング、③ITスキル等の技能を子供たちは身に付けることができる。
 IchigoJamは、現在のインターネット時代にも適応しており、MixJuiceボードを介して外部とも情報交換ができる。興味が増せば、市販のロボットキットを導入してそれを操作するためのプログラミング教育にも発展できる。
 IchigoJamパソコンでは、3つの学習課程を想定できる。(1)パソコン基盤の組み立てによる電子工作(工作)、(2)BASICプログラミングによるゲーム作り(考えること)、(3)ロボット制御による考える教育(遊び)。本書では、これらの特長を生かしてIchigoJamパソコンを活用する事例を紹介する。
 本書の目次構成は、7章立てに加えて、付録を2つからなる。
 第1章 小学校におけるキャリア教育
 1.1 好きなことを見つけて、考えることを楽しむ
 1.2 社会生活に必要なツールの発現と習熟
 1.3 各教科における問題意識の位置づけ
 1.4 インターネット(スマホ)やOfficeとの関わり
 1.5 課外活動での助長と職業観
 第2章 プログラミングで考える教育と教科
 2.1 英語
 2.2 算数
 2.3 国語
 2.4 理科
 2.5 社会
 2.6 図画工作
 2.7 音楽
 2.8 教科横断的指導
 第3章 プログラミングに必要な「IchigoJam」とは
 3.1 プログラミングを介して考える教育
 3.2 IchigoJamとは
 3.3 IchigoJamを用いるうえで必要なもの
 3.4 プログラム保存のためのEEPROM(外部記憶装置)
 3.5 IchigoJamの拡張性
 第4章 IchigoJam BASICの文法
 4.1 ダイレクトモードのBASIC
 4.2 プログラムモードのBASIC基礎編
 4.3 プログラムモードのBASIC応用編
 4.4 IchigoJam BASICリファレンスver1.2
 第5章 ゲームをプログラミング
 5.1 IchigoJam画面と複雑な繰り返し処理
 5.2 簡単なアニメーション
 5.3 アニメーションにアクションの付加
 5.4 落下物のキャッチングゲーム
 5.5 シューティングゲームの制作
 5.6 ジョイスティックで遊ぶ
 第6章  ロボットと遊ぶ
 6.1 IchigoJamで遊ぶロボット
 6.2 ロボットを動かす命令
 6.3 ロボットを動かすMapleSyrupボード
 6.4 ロボットのプログラミング
 6.5 ロボットと遊ぶ
 第7章  インターネットでIchigoJam情報の共有
 7.1 パソコンとの接続
 7.2 IoTのためのMixJuiceボード
 7.3 現場教材の公開と支援
 7.4 ネットワーク活動
 7.5 楽しいプログラミング
 付録1 IchigoJam BASIC reference ver. 1.2
 付録2 ExcelでのVBAへの誘い
 以上で、138頁構成である。
 本書は、小学校教員が“考える教育”を実践することを想定して、各教科の中でプログラミングを実施するための入門実践書となるように企画・執筆した。プログラミングで考える教育では、「考えて、手を動かして、うまくいかない場合は、また考える」という思考過程を繰り返させることによって、問題解決力や論理的思考力を養うことができる。新しい学びの場として、プログラミングには安価に準備できる、IchigoJam BASICを用いて、小学生に対してプログラミング教育を教科横断的に指導する入門書となれれば幸いである。そして、プログラミング教育に悩む小学校教員の一助になるサポートができるよう願っている。