強烈なプロパガンダ本ですからお気をつけて
★★★★☆
この本はフェミニズム入門書の体裁をとったエンターテインメントでありまた
プロパガンダ書であると割り切って読んだほうがいい。
確かに面白いし説得力も強烈なのだが
作者の小倉氏いわく
本を読んで急に元気が出て家庭を飛び出したはいいものの
女一人では自活もままならず
かといっていまさら家に戻るわけにもいかず
途方に暮れている「被害者」が多数出たそうなので。
この本を読んで
私も何かしなきゃという衝動にとりつかれた人には
いったん気を落ち着けたうえで
フェミニズム関係の本とフェミニズム批判の本を
それぞれ10冊ずつ読むことをおすすめする。
実地に行動に移すのはそれからでも遅くない。
トンデモ本
★☆☆☆☆
「間違いが多い」というよりも、全体的に論証が論証になっていない。論理の飛躍が多すぎる。まず結論ありき。
はっきり言って読む価値はない、トンデモ本です。
幾つか笑える論証をを指摘しておきましょう。
これまで発見された野生児は圧倒的に男性が多い。なぜなら女性は野生では泌尿器系感染症、膀胱炎、尿道炎にかかり易いから。→「文化は女性的で自然は男性」 (ブッ飛びすぎです)
「ジェンダーは言語によって習得され、ジェンダーからセクシュアリティが学習される」らしく、野生児が性欲を持たないことをその例証としていいます。それにしても、たった数十例でもって、しかもそれらは長い長い進化を経た人類が、突然森に放り込まれ、挙句に周りは狼だの何だので、他の種の生物に囲まれて成長した野生児です(猿の群れの中ならまだしも。それでもかなり異常な成長過程です。)。そのような極端に異常な境遇で育った者をたった数十例調べて例証とするのもいかがなものかと。
ましてや性欲が本能でないならば、野生の動物たちが交尾をするモチベーションはなんなのでしょうか???
一見面白そうに見えるトンデモ本
★☆☆☆☆
このひとの本や上野千鶴子の本には致命的な欠点があります。それは結論決め打ち、論証思い込みです。「男性はつねにやりたがっている、女性はやりたがっていない」この決め打ちがかれらの論理構成をゆがめて結論をとんでもない方向へ持っていっているのです。というより、先ほどの前提を書きたいがために本を書いている、という印象がつねにつきまといます。ほんらい、よのなかは女性と男性がなかよくして手をつないでこそうまく運営されていくものだとおもうのですが、かれらは女性と男性は対立関係にあるときめうちします。かりにどんな関係にあるとしても、当事者が満足しているのであればわたくしはそれでいいとおもうのですが、そのしあわせな関係をみとめないというかれらの姿勢にはたいへん疑問をおぼえます。
ということで、とてもたかい評価をあたえるわけにはいきません。
面白いが「嘘」は「嘘」だし、「間違い」は「間違い」
★☆☆☆☆
面白くて、どんどんページを捲る指が動く。夢中になってしまう。
・・なるほど、確かにそうかもしれないが(事実面白かった)
嘘は嘘である。また間違いは間違いである。本書を読んで「フェミ
ニストに目覚める」のは構わないが、事実を偽ってはいけない。
ジョンマネーについて、性欲について、狼に育てられて子について。
今ではその全ての嘘が明らかになっている。
女性の気持ちを解放してくれるが、現実には解放できないという困った本
★☆☆☆☆
~おお、なつかしい。わたしは昔、この本を単行本で読んで、それがきっかけでジェンダーについて興味をもつようになったのでした。
あれから十数年、ジェンダーについていろいろ読んできて、残念ながらいまのわたしが言えるのは、「この本に書いてあるジェンダー解釈はかなり間違っている」ということです。というか、間違っている以前に、ひどすぎる、という~~のが正直なところです。
ここで提示されている男性観や女性観も深そうで浅く、読んだあとに、なにか光が見えてきそうな感じがしますが、じつはこの視点からは何も生まれません。それどころか、この本の影響を受けて、しなくていい離婚をして不幸になった女性がわたしの周りに現実にいます(離婚自体が不幸なのではなくて、彼女にとっての離婚が不幸だったと~~いう意味ですよ、もちろん)。
そういう意味で、この本はわたしにとってはかなり「トンデモ本」に近いのですが、昔この本を読んだときに感じた、ある種の「すがすがしさ」は、いまでもわたしのなかに鮮烈に残っています。読んだ女性たちが、なにか解放されたような気がしたり、この本を支持したくなる気持ちもよく分かります。それほど、女性たちの心に響い~~てくるような本がすくないのかもしれません。わたしにとっても当時は好きな本でした。
いま、わたしなりに、いまの日本社会で女性のおかれている不当なありかたに、かなり腹が立つことがあります。そして、それをなんとかしたいと思うときがあります。
わたしは女性の味方じゃないし敵でもないけれど、もしもわたしが女性を解放する運動、あるいは男性解放~~の運動に参加しようと思ったら、まずまっさきにこのジェンダー理論は捨てます。女性解放・男性解放の役に立たないからです。
いや、むしろ、このいいかげんなジェンダー論がはびこっているかぎり、かえって女性は救われないのではないか、とさえ思っています。
小倉さんや上野千鶴子さんたちがいなかったら、彼女たちがこんないいかげんな本を書かなかった~~ら、もうすこし女性性の解放は進展していたのではないか、わたしは思っています。~