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一万年の進化爆発 文明が進化を加速した

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日経BP社
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進化のスピードは思ったよりも速かった ★★★★★
ヒトはサルから進化したが、進化には何百万年もかかるため、ヒトがヒトの姿をしていたころには、すでに今の人類と同じ遺伝的特性を備えており、それ以降に生じた行動様式の違いは全て文化や習慣の違いによるものだ―多くの人がこのように考えているだろう。しかし、進化はもっと短いスパンでも進行するらしい。生活する自然環境や社会的な風習の移り変わりは、文明が発達する前はもちろん、その後も人間の遺伝的な形質を常に変化させているようだ。

遺伝子は突然変異によって常に揺らいでいる。現生人類がネアンデルタール人との交雑でその多様性を広めたというのは驚きだ。そして、変異のほとんどは生存にとって不利だが、ごく稀にある特定の条件下で生存上有利なものが存在する。それは生まれ落ちた環境との巡り合わせや、確率論的な偶然の力によって勢いがつくと一気に広まっていく。実際、文明の発達によって人口が爆発的に増えたおかげで遺伝的な変異の量が増えただけでなく、それが広まるスピードは指数関数的に高まったことが数学的に証明できるらしい。複雑な計算は省略して、コイン投げなどを例にその証明を解説しているのだが、なるほどと思わされるほど分かりやすい。単純な人口の増加以外でも、交易や侵略によって遺伝子は拡散したり淘汰されたりするし、地理的・社会的に隔絶された集団で特定の形質が普遍的になることもあるようだ。

アメリカ大陸でヨーロッパ人の植民地支配が広がったのも、アフリカではそれがアメリカほどには広がらなかったのも、ユダヤ人が世界金融を牛耳っているのも、遺伝の歴史による裏付けがあるというのだから面白い。もちろん、科学的に正しい推論が、政治的にも適切だとは限らない。だからと言って科学的成果に目をつぶるのは、それを政治的に悪用するのと等しく愚かである。遺伝学を踏まえた政治哲学や社会工学はどんなものになるのだろう。本書はそうした挑発的な問題提起を投げかけている。
進化のスピードは思ったよりも速かった ★★★★☆
ヒトはサルから進化したが、進化には何百万年もかかるため、ヒトがヒトの姿をしていたころには、すでに今の人類と同じ遺伝的特性を備えており、それ以降に生じた行動様式の違いは全て、文化や文明の違いによるものだ―多くの人がこのように考えているだろう。しかし、進化はもっと短いスパンでも進行するらしい。生活する自然環境や社会的な風習の移り変わりは、文明が発達する前はもちろん、その後も人間の遺伝的な形質を常に変化させており、それが文化や文明を移ろわせてもいるようだ。

遺伝子は突然変異によって常に揺らいでいる。現生人類がネアンデルタール人との交雑でその多様性を広めたというのは驚きだ。そして、変異のほとんどは生まれ落ちた環境に適応できないが、ごく稀にある特定の条件下で生存上有利なものが存在する。それは確率論的な偶然の力によって勢いがつくと一気に広まっていく。実際、文明の発達によって人口が爆発的に増えたおかげで、遺伝的な変異が起こる確率も広まるスピードも指数関数的に高まったことが数学的に証明できるらしい。複雑な計算は省略して、コイン投げなどを例に出しながらその証明を解説しているのだが、なるほどと思わされるほど分かりやすい。単純な人口の増加以外でも、交易や侵略によって遺伝子は拡散したり淘汰されたりするし、地理的・社会的に隔絶された集団で特定の形質が普遍的になることもあるようだ。

ヨーロッパ人の植民地支配が広がったのも、ユダヤ人が世界金融を牛耳っているのも、遺伝の歴史による裏付けがあるというのだから面白い。もちろん、科学的に正しい推論が、政治的にも適切だとは限らない。だからと言って科学的成果に目をつぶるのは、それを悪用するのと等しく愚かである。遺伝学を踏まえた政治哲学はどんなものになるのだろう。本書はそうした挑発的な問題提起を投げかけている。
たいへん示唆的である。だが… ★★★★☆
本書が指摘するように、人類の進化がここ数万年で止まったと考える根拠はない。人口が増えている時に大きな選択圧が働くこともあるのだ。この考え自体は少数の進化心理学者やヒューマンエソロジストによって断片的に語られてきた。たとえば日本人のセックスの頻度が欧米に比べて少ないのは遺伝的差異に由来するのかもしれない。少なくとも、文化だけで説明できるとみなすアプリオリな理由はないのだ。

だが本書で述べられているシナリオの大部分は根拠に乏しく、想像や、一般論としての可能性に基づいているだけだし、推測や仮定がいつのまにか事実として語られている部分もある。

たとえば著者のいう通り、農業が始まったあとには貯蓄行動は適応度を高めたかもしれない。しかしそのためには貯蓄行動に影響を与える変異が存在し、その表現型効果が遺伝的浮動や他の表現型の効果によって覆い隠されないだけ十分な適応価を持っていなければならない。その様な証拠はあるだろうか?もしかすると貯蓄行動は別の認知的能力の副産物かもしれず(そうであっても貯蓄が遺伝的に得意な個体はいたかもしれないが)、その場合は貯蓄行動が広まったのは自然選択ではなく模倣の結果ということになる。この様な憶測の一部は比較ゲノミクスによって説明できるようになるかもしれないが、それでも本書の進化のシナリオを検証するのは簡単ではないだろう。

もちろん推測することそのものは問題なのではないし(推測がなければ仮説も立てられない)、本書の推測も全体としては理にかなってもいる。だから、勇み足が多いけれど歴史学と行動遺伝学の総合を提唱した意欲作として、一歩引いた視点から読むのが良いのではないだろうか。
人類史と人類の進化について、初めての視点に着目した本 ★★★★★
大変に感銘しました。
今までの一般の歴史学ではわからなかった、想像もつかなかった遺伝からみた人類の興亡の様子や、最新の遺伝学からの人種の成立ちと、現在も劇的に変わって行っているという私たち人間の遺伝からみた歴史が綴られています。
(白人種の青い目の色、明るい髪の色の遺伝が始まったのが、思ったよりも近くでビックリしました。)
遺伝と、生き残りの関係、アシュケナージ系ユダヤ人がなぜIQが高いのか(他の地域のユダヤ人、また歴史上に登場した頃の初期のユダヤ人には特に賢かったなどの文献は見当たらない)を解明したり、インド・ヨーロッパ語族の拡散の謎も解明しています。またアメリカ原住民などが、西洋人の来襲によってなぜあれほどまでに征服されてしまったのかについても解き明かしています。
歴史学の専門家の方、歴史と科学をお好きな方にはぜひお勧めです。
大胆かつ冷静、最新遺伝学に基づく仮説。よくぞこのテーマで、感嘆の一冊です ★★★★★
相当大胆、勇気(?)がいる仮説、でも何となくそうなのではないかと人々が感じていた一万年(中核はこの三千年の話です)の人類のテーマを単刀直入に論じてくれます。少しセンセーショナルな言い方もありますが、素晴らしい著書です。

構成は1章、遺伝的変化はそれほど長時間かかるものでないこと。犬や家畜、作物・昆虫の例など例示。それは人為的なもので自然(人間も自然ですから定義の問題ではあるでしょうが)とは少し違うのではとか、ミツバチが擬態した花めがけて交尾、結果受粉とかそこまで言い切って良いのか等乱暴だなと思う展開。これは読み進むうちに誤解?が解けます。著者は手法はともかく進化は常に生じており、スピードは早いこと、少数の変異が短期間に集団内に拡散定着することが言いたかったのです。これを最新遺伝子化学、確率論から解説。

2章、現世人類にネアンデルタール人の遺伝子が組み込まれている可能性が高いこと、それには意味があったこと、その事実を認めたくないからと言って忌避するのは誤りであること。(つい先日ネアンデルタール人のDNAが北欧州人中心に残っていることが判明しました、知る人ぞ知る事実だったのでしょう。また、これは多分、後段のアシュケナージ系ユダヤ人に関する章への伏線でもあるのでしょう。)

3章ー4章で狩猟採集型と農耕定着型文化について。農耕が意外に遺伝的に病気に対する抵抗力を低下させた、体格も弱くなった、乳糖能力減退、人口集中など両文化のプラスマイナス(これも定義の問題)等々。 5章−6章で、文明の興亡、民族移動、戦争、征服、航海など、歴史に残る近世以降でも極めて少ない遺伝形質、突然変異と個体数でも環境(自然環境だけでなく)優位性、有利性があれば、かつ適当な隔離状態があればかなりのスピードで個体群、民族に支配的となることなど例示。(日本人男性の1/3以上は1万年くらい前の中国南部の男性の突然変異、お酒に弱い形質を引き継いでいる、つまりその一人の男性の子孫?という話を聞いた事がありますが、仮にそうであっても全くおかしくない訳ですね)

7章ーそこでいよいよ、ここまでの議論、論旨展開を明らかに踏まえた上で、アシュケナージ系ユダヤ人の知能の高さについて。ここは多分、そうだよなーという漠然としたイメージ、でも何となく本当でも公の場でここまで明確に立証、学者でも普通は回避するのではと思うテーマです(ノーベル賞選考委員会向きの話題ではなさそうです)。 確かに現代金融経済、近代科学という世界環境においては「適性がある、優位性がある」と感じざるを得ないのも事実(レビューワーも彼ら彼女等とのビジネス経験から、「これは勝てん」は実感です)。スポーツや運動能力、走行力や体格が価値基準の世界でしたら別な話ですが。文句なしに最新、ベストな著書の一冊です。