日本再生入門
★★★★★
続篇共に読みました。
文系理系で分ける言い方に、異論を唱える人がいるのは、この著者も重々承知である。でも、読んでいるうちに、どうしてそういう仕分け?をしているのかに納得できる。
つまり、理系とは、全世界共通の公理に基づいていて、たとえば、
数学のテストでは最も多くの人が導き出した解答が正解になるとは限らない。ある問題の正解が10パーセント、同じ間違いが90パーセントであっても、多数決によって間違いが正解になることはない。
という公理で動く人のこと。
つまり、理系とは感情で、あるいはその場の空気で結論を出すこととは対称の位置にあるということを念頭に置いている。
一方文系とは論証を避け、多数派の空気で物事を決着させようとする傾向がある・・・・という設定。
面白い箇所として印象に残ったのは、第四章「ファクタ」と「ファクタ・ディクタ」の項。
聴く方も「聴いた話の内容は本当だ」と「話を聞いたことは本当だ」の峻別が出来ないようである。
というところを読んで、沖縄の高校生が「おじいちゃん、おばあちゃんが嘘を言っていると言うのですか」と、例の大会(集団自決に軍命令があったとする)で話していたが、まさにこの「ファクタ(事実)」と「ファクタ・ディクタ(語られた事実)」の違いが全くわかっていない発言の好例だと瞬時に思った。
日本人はとりわけ、この峻別が出来ないと、山本七平さんが昔から言われているという。
理系文系という切り口でいろいろな事件を解説していく。日本を救いたいと思っているけれど、まだ何がなんだか分らない・・・・と思っている人などには、大変分りやすい入門本だ。