ロブションのすごさを改めて感じた本
★★★★★
著者がインタビューするかたちで、ジョエル・ロブションが、食材の探求から、料理の研究、厨房のあり方、料理人のあるべき姿勢、交流した人々について、各職場での出来事を交えながら、述べている。ロブションは、料理ばかりでなく、レストランのオーナーに必要な、経営や店の内装など管理部門も貪欲に学び、読書もよくしているので、かなりの知識人ではないだろうか。
また彼がプロデュースする加工食品や、料理人を育てる学校教育、コンクールの有意義性などについてもふれている。
全編をとおして、真摯に料理にとりくみ、自分に厳しく、人には思いやり深い、ロブションの人間としての魅力も伝わってくる。何より、ロブションが語る哲学は、料理人など食関係の人ばかりでなく、一個人としても参考になると思う。
巻末にレシピものっているが、気楽に読む料理本とは違うので、そういうスタイルを求める人には向かないかも。
何の気なしに手にとった本だが、訳もふくめ読後感が思った以上によかった。