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インド仏教変移論―なぜ仏教は多様化したのか

価格: ¥8,400
カテゴリ: 単行本
ブランド: 大蔵出版
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わくわくする謎解き ★★★★★
日本人のほとんどが檀家になっている大乗仏教、その大乗仏教が実はお釈迦様が語ったものでなく、原始仏教と他宗のミックスであるのですが、
その起源がインドの大衆部という仏教の部派にあるという説、
僧団でなく、仏塔に住むものが始めたという説があるわけです。

個人的な疑問としては、
仏法僧に帰依すると言いつつ、経典を新たにつくるのは罪ではないか(そんなことをなぜ僧が行ったのか)、
在家者がつくり出したのなら(出家者にしか伝えられないはずの)経典が含まれていることはなぜか
がありました。

本書では、アショーカ王の碑文と、経典の記述をつなぎ合わせることにより、
大衆部において、アショーカ王の多額の寄付が行われたため、他宗の人(偽比丘)が大量に流入して僧団の活動ができなくなり、律の改革を行ったとのこと。
その改革が、思想の一致でなく、形式的な一致をもって僧団を維持するというものであったため、多様な教義が発生し得るようになったとのこと。また、和合できない者は、僧団を割るか、還俗したとのこと(仏塔は僧団に所属せず、しかし在家信者が詣でるところである。しかも大衆部では他宗の者が僧となってしまっていた)。

この改革に反対し正統派を自認した有部は、大衆部とは距離を置き、アビダルマ哲学を作った(大乗仏教は在家者に優しいが、哲学的には矛盾があり深化させにくい)。

これらの話が論理的に展開することにわくわくしました。
大乗仏教は出家者僧団の仏教であった ★★★★★
本書の狙いは、紀元前3世紀のアショーカ王の帰依により仏教が急激に勢力を伸ばし、北伝仏教(ブータン、ネパール、中国、ベトナム、朝鮮、日本などの大乗仏教)が次々と新形態の仏教思想(浄土思想、般若思想、法華思想、華厳思想、密教など)を生み出した「仏教の多様性」の起源を解明するものである。
その内容は、大乗仏教の起源に関する有名な平川彰説=「大乗仏教は、出家者僧団ではなく、仏塔を拠点とする在俗の人々によって始められた」(p.32)を否定し、「大乗仏教は、部派仏教の延長線上に現れた、出家者僧団の宗教であった」(p.33)という新たな仮説を提示・論証するものである。
論証の核心は、仏陀在世時の破僧は破輪(チャクラベーダ cakrabheda=仏陀の教説に背くこと)であり、アショーカ王以後の破僧は破羯磨(カルマベーダ karmabheda=僧団内の定例行事に背くこと)に変化したことの解明である。さらにその変化の理由を、仏陀在世時の破僧解消条件が「和合のための布薩(samaggi-uposatha)」であり、この「和合布薩」に整合するように破僧を「破羯磨」と変更することで、従来の「破輪」に相当する僧団とも容易に和合できるからだと推定している。
この和合調停にしぶしぶ同意した南方分別説部と最初は反対していたものの後に受け入れた説一切有部とがアビダルマ哲学を極度に発達させたのも、釈尊仏教の正統性の主張でもあったのではないかという新たな予想を打ち出している。
本書の考察が正しければ、釈尊仏教の教法は多様化を排除した南伝仏教(スリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアなどの上座部仏教)に残されている可能性が高いが、大乗仏教(北伝仏教)を作ったのは出家者僧団であるからこちらにも釈尊仏教が皆無とは言えないことが分かる。密教経典等の「奢摩他(シャマタ)・毘鉢舎那(ビバシャナ)」が上座部仏教の「サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想」を漢訳したものであることを見ても、そのことが裏付けられる。