写真保存の実務 (岩田書院ブックレット 14)
価格: ¥1,728
「本書で取り上げるのは、既に形としてあるプリント(印画)を中心とした保存である。なぜ、今、このプリントの保存なのかというのは、二つの理由がある。 一つは、プリントとセットであるべきネガ(原板)というのは、あくまでも最終的な出力であるプリントを作成するための材料、あるいは中間生成物である。もちろん、そういうものを残す意味がないということでは決してなく、それはプリントを残すより難しい問題を抱えているので、別稿に譲ることにしたい。 もう一つの理由はもっと単純で、圧倒的にプリントの数が多いということである。それにもかかわらず、化学的に作られたことによって保存の処置の方法を間違えると、ほんのちょっとしたきっかけで比較的短時間で失われてしまうことがありえる。だからこそ、今すぐなんとかしなければならないということである。」 (本書「序章」より) 本書は2007年1月に開催された全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の研究例会「劣化する戦後写真」での報告を元にして、最新の成果を加えて書き下ろしたものである。