共通点は、70歳に至るまで、第一線で息の長い活動を続け、それぞれが大家と認められ、その生涯を閉じた。しかし、100年までは、さらに30年、すなわち、もう一世代分の星霜を生き延びねばならない。
存命中、大家と認められるのは、大変なことであろうが、少なくとも、各ジャンルに、各々の第一人者は、当然ながら同時代に一人存在する。
しかし、死後30年を経過して、次の時代にも認められるということは、第一人者であるだけでは足りないのである。
普遍性とは、このような、時代の断崖絶壁を平然と超えて、新たなる世代に
、今生まれたばかりのように、すなわち、同時代の成果としてその富が受け入れられるのでなければ、空言であろう。
一世代だけで、普遍性は決して達成できない。人は、個体としては、世代の壁を超える事はできない。しかし、生誕100年の記念出版が可能な偉人たちは、これと具体的に明示はできないけれども、この壁をこえたのである。それは、事実として、明らかである、結果的に証明されている。
この、生誕100年を期して出版された本書は、以上にくどくど述べたことを、一読解らせてくれる好著である。