心が温かくなる名歌集
★★★★★
この本には、主にヨーロッパやアメリカの民謡や歌曲の楽譜が収録されています。アジアや南米の歌も少しは載っています。ただし、楽譜は主旋律だけで伴奏譜はなく、日本語の歌詞は全部載っていますが原語の歌詞は1番だけです(カタカナで発音は記されている)。小中学校で1度は歌ったであろうフォスターの「ケンタッキーのわが家」やナポリ民謡「サンタ・ルチア」をはじめ、懐かしい歌が目白押しです。フォスターの「オールド・ブラック・ジョー」やイギリス民謡「アニー・ローリー」などは、初めて聴いたときにも懐かしさや切なさがこみ上げてきました。欲を言えばイギリス民謡「灯台守」やロシア民謡「黒い瞳」も収録して欲しいところです。
かつて自分が幼かったころに歌った歌を声に出してみて思い出に浸るもよし。私などは、編曲して楽器でも演奏していますがそれでもよし。そして何より、ドラムやエレキギターをガンガン利かせたロックやポップスばかり聴いている若い世代の人に、古き良き歌曲に触れて優しい心をひと時でも味わってほしいと思います。若いうち(高校1年のとき)にこの本に出会えた私は幸せ者です。
それにしても、現在アップテンポのポップスばかりがもてはやされるのは、刺激を求める人々の嗜好なのでしょうか、それとも多忙を極める高密度の世相を反映しているのでしょうか。いずれにしても、こういうゆったりとしたテンポの素朴な旋律の数々は、疲れた現代人の心を癒してくれる何かを持っている。私はそう信じてやみません。