現場経験をふまえた思いが反映されている著作
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長年、大手メーカーで勤務し、豊富な現場経験を持つ編著者が、新進気鋭のメーカー勤務者、コンサルタントの協力を得て、作業改善について平易に述べた著作である。A5版150ページと手軽で求めやすい本となっており、編著者の「はじめに」によれば現場に常備して、必要に応じ利用されることが意図されている。「第5章ポカヨケ改善」、「第6章知恵クリ・カラクリ改善」では改善の例が1テーマ1ページ、図表入りで紹介されている。
あくまで現場を知る若手現場作業マン、中堅作業マン、監督者が読者として想定されているので、手軽である面、専門用語などが事前説明抜きで使用されているところもあり、門外漢がこれだけで理解することは難しい面もあるが、日本企業における作業改善の醍醐味を窺うことは十分できる。編著者は「おわりに」の中でトヨタ生産方式の思想は機械いじりの好きな一少年(豊田佐吉翁)の母親への思いから発生し、多くの人が持つ普遍の思いを基軸とした人を中心とした生産方式であるとしている。この著作は編著者の長年の現場経験をふまえた思いが反映されている著作であると思う。内外の多くの読者を得て、改善の意見を得ることにより、より専門的な作業改善の著作となることを編著者らには期待したい。