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≠の殺人 (講談社ノベルス)

価格: ¥840
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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会話は面白いんだけど ★★★☆☆
女子高生&サラリーマンによるシリーズの第6作目。

今回の舞台も前回と同じく孤島。シリーズを通して、ここまで孤島の頻度が突出して多くなると、今後も半ばお約束的にどんどん孤島を舞台にして欲しい気もする。

今作を読んだ印象として、これは前回とも共通するが、女子高生(今回は)トリオらによる会話(というか,ほとんど漫談)は確かに面白いと思う。若干やり過ぎ感はあるが、それでもこれがこのシリーズの魅力でもあるし、なくてはならないものだとも思う。ただ、その一方で、ミステリ的な部分が弱く感じるのも、これまた前作と同じ。余りにヘビーなものを求める気もないが、メインキャラたちの会話の印象が強い分、その印象ばかりが残ってミステリ的な部分の印象があまり残っていない。それが悪いとはいわないが、やはりそれでは本末転倒だと思う。他にはない面白さを持っているのだから、そのストロングポイントを活かしつつ、更に面白いものを作って欲しい。
ボケは楽しいが、本格味は段々弱まって来たような ★★★☆☆
本格味と、石崎、ミリア、ユリのオトボケ・トリオ(+仁美)が繰り広げるユーモア溢れる言動が見事に調和した本シリーズを私は愛好している。"孤島での不可思議な殺人"に拘る姿勢も好ましい。今回は沖縄沖の孤島の研修所(実は高級ホテル並み)が舞台。研修所を持つ会社の社長と仁美の父親は同業の社長どうし。そして、跡取り息子の英一は石崎の大学時代の友人だった。そんな縁で、石崎達はパーティに招かれた。英一の妹の美冬と美雪は一卵性双生児。

今回はGeminiをテーマにしたようだ。美冬と美雪の一卵性双生児と言う設定は勿論、研修所は中央塔を挟んで東塔・西塔を持つ山型の構造。美冬と美雪は公平に扱われる事に執着し、二人は定期的に東西の居室を交換したり、居間にある本やアンティークは公平を期して全て二つ揃っている。そして、石崎達が研修所を訪れた晩、招待客の一人、野球選手の井沢が上述の居間で殺される。遺体の状況や部屋の様子は対称性を壊すものだった。対称な世界の中での非対称な殺人と言う趣向か。その後、英一の看護をする沢田が姿を消し、美雪が「井沢を殺したのは私」と叫んでベランダから身を投げる...。

今回は何時にも増してユリ達のボケの時間が長い。時折、ミリアが鋭い発言をするのでドキッとする。しかしその分、犯人の設定やトリックに新規性が感じられない。この舞台設定でそれはないでしょう、と言う印象。デビュー以来、本格としてのアイデアが段々薄れて来ているように思う。反比例するように、ボケに対する執念は一作毎に高まっているようだが。それはそれで楽しいのだけれど。
さすがTR大卒業生! 古典的なネタの新展開 ★★★★★
前作と若干被るので星四つにしようかとも思いましたが、ええいサービスだ!

石崎幸二って、もはや「ちゃんとした本格推理を書く作家」ってブランドじゃないかな。この作でも、○○の十戒、××の十則になんども採り上げられた古典的な題材を使って、新しい切り口をみせています。犯人の見当は最初のうちからつきます。でもまさか、あのネタをこう料理するとは… 推理が論理的に構成されているのはもちろんですが、文章の可読性が大変高く、誤解の余地のない記述からなりたっているのも石崎作品の隠れた美点です。おまけにさんざん言われて来た「人間が書けていない」ネタをメタフィクショナルな自虐ネタとして使い、しかもそれがヒントになっているという…

しかし、考えてみれば作中の石崎さんは幸せですねえ。緩そうな会社だし、旅行行けるし、旅先では面白い事件が起こるし、美人女子高生三人と女性刑事がいつも周りにいて、まったくもってうらやまshどどうして刑事が警棒持ってるんですか斉藤さ(殴られた筆者が昏倒する音)